ソフトロボット学
ソフトロボットにおけるPhysical Reservoir Computing
近年、機械学習の分野において、物理系のダイナミクスそれ自体を計算資源として活用する情報処理技術、Physical Reservoir Computing(PRC)が提案された。この手法に基づいて、やわらかい素材が変形する際の高次元で複雑なダイナミクスがきわめて高い情報処理能力を有し、実時間計算やシグナル処理・自律制御を実装するのに適していることが示されつつある。しかし、これまでの実装では、ダイナミクスを検出する際に用いるセンサ自体が硬い素材でできてしまっており、やわらかい素材に埋め込んだ際、その豊潤なダイナミクスを損なってしまうという難点があった。本プロジェクトでは、このセンサによる拘束を打開することを目指す。具体的には、ナノ材料に基づくフレキシブルセンサを導入し、やわらかい素材が本来持つ多様なダイナミクスを最大限、粗視化せずに高次元のまま抽出することで、PRCに基づく既存の情報処理限界を突破することを目論む。これは情報科学に属するPRCの手法と材料科学に属するフレキシブル・エレクトロニクス分野が融合することではじめて見出される突破口である。
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【表紙の絵】
魚が空を飛べる「まく」をつけるそうち
山本 波璃 さん(当時9歳)
魚は水の中でしか、生活ができないけれど、 このそうちでまくの中に入ると、水の外で も生きていけます。そうすればいっしょに 魚たちと遊べます。