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2019/4 Vol.122

【表紙の絵】
魚が空を飛べる「まく」をつけるそうち

山本 波璃 さん(当時9歳)

魚は水の中でしか、生活ができないけれど、 このそうちでまくの中に入ると、水の外で も生きていけます。そうすればいっしょに 魚たちと遊べます。

バックナンバー

ソフトロボット学

やわらかさが生み出す飛翔と遊泳の運動

田中 博人(東京工業大学)

飛翔と遊泳における身体のやわらかさ

やわらかい身体の変形と流体力の相互作用

移動は、ロボットにおいても生物においても、身体に求められる主要な機能の一つである。その中で飛翔と遊泳という移動方法では、身体が空気または水という流体の中を、地面などの他の固体と接触することなく、身体に働く流体力のみを利用して進む。飛翔と遊泳が、歩行や走行のような身体と地面との固体間接触力を利用する移動方法と大きく異なる点は、この流体力の向きと大きさが身体の外形に強く依存するという点である。

例えば一般的な固定翼飛行機では、主翼は流線型の断面形状によって大きな揚力を発生し、不要な抗力を抑制する。主翼を上から見た平面形も、揚力と抗力の特性に影響する。プロペラ機の場合では、プロペラの回転翼も流線型の翼断面を持ち、翼の揚力の進行方向成分を推進力として利用する。ジェット機の場合もエンジンの内部では、多数の翼で構成される回転翼が、空気の吸入や圧縮および後方への噴出といった仕事を行っている。このように、翼の形状は流体力の発生に決定的に重要であるため、翼構造は形状を保持できるように基本的には固い。逆に、固く変形しない翼ならば、定常流を仮定した一般的な空気力学で流体力を推定でき、翼や全体の設計も可能となる。

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