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2019/3 Vol.122

【表紙の絵】
未来のファミリーレストラン

小原 芽莉 さん(当時10歳)

私の考えた機械は、これから起きるといわれている「食料危機」を乗り越えられる機械です。バクテリアの入っている機械に昆虫をいれると、バクテリアが昆虫をハンバーグやオムライス、カレーなどの味にします。色々な味になった物が穴からでてきます。最後に羽あり型ロボットが穴から落ちてきた物をお皿にならべてくれます。

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特集 “ものづくり”を革新する3Dプリンティング技術

3Dゲルプリンタ開発

齊藤 梓・川上 勝・古川 英光(山形大学)

ゲルとは

ゲルとは、液体を含む柔軟で大変形可能な網目構造である。多量の溶媒を吸収した膨潤ゲルは固体と液体の中間の物質形態である。身近なものでは、こんにゃくやゼリーのような食品をイメージすると理解しやすい。私たちの身体を構成する筋肉、内臓、軟骨、眼球のような生体軟組織も、タンパク質や多糖といった高分子が架橋して網目構造を作り、そこに水が取り込まれたもので、ゲルであると言える。金属などの材料については、硬くて丈夫で長持ちすることを目標に変形や錆に強い、外界からの影響を受けないものを理想として開発されてきたのに対して、ゲル材料は、このような材料のイメージにはそぐわない。ゲルは主成分が液体であるため、著しく低い摩擦係数とユニークな摩擦挙動を示す。また、柔軟でしなやかであるため、衝撃を吸収し相手や自分を傷つけない。このため、生体の関節は、激しい衝撃を耐えながらも滑らかに動くことができる。また、環境の変化に合わせて、変形したり別の状態に移行したりする環境応答性を持つ点も生物らしいと言える。ゲルの構造や機能を研究することは、生命の起源を理解することにもつながる。

ゲル材料の産業への応用研究は、始まったばかりである。溶媒の吸収体として紙おむつや、柔らかく装着感に優れたソフトコンタクトレンズなどへの応用は進んでいるが、典型的な合成ゲルは低強度であるため、その他の産業への応用は限られていた。しかし、2000年以降、ゲル網目の分子構造を見直すことにより、強靭なゲル、高延伸可能なゲルが多く開発された。例えば、龔剣萍(Gong,J.P.)らは、生体関節軟骨の持つ剛直なコラーゲン繊維骨格とその隙間を埋めるプロテオグリカンによる複合構造を模倣して、ダブルネットワークゲル(DNゲル)を提案した。DNゲルは、一度重合されたゲルに別の種類のモノマーを染み込ませもう一度重合させることで、2種類の網目構造を持つゲルであり、生体軟骨を凌ぐ数十MPaの圧縮破断強度を示す(1)。このような高強度ゲルが開発されたことで、ゲル材料として期待が高まった。生体親和性が高いことを活かして、人工血管や人工軟骨などの生体代替物としての応用が期待されている。これらを実現させるためには、人それぞれの身体に合わせてゲルを成形する必要がある。ゲル材料の実用化を進めるために、ゲルの成形技術が必要とされている。

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