特集 “ものづくり”を革新する3Dプリンティング技術
3Dプリンティング技術の最新動向と今後の展開
はじめに
Additive Manufacturing(AM)あるいは3Dプリンティングと呼ばれる技術は、1980年代に光造形(光重合硬化)から始まり、その後、粉末床溶融(以下、パウダーベッド)、溶融物堆積(材料押出し)、指向性エネルギー堆積(以下、デポジション)などが開発され、2009年にASTM F42委員会において、七つのカテゴリーに分類された。これらのうち、本稿で主に紹介する金属AM技術では、パウダーベッド方式とデポジション方式が主流であるが、最近ではバインダジェッティング方式や材料押出し方式の装置も注目されてきている。装置開発、材料開発、さらにはソフトウェア開発の急速な進歩により、切削加工や鋳造などの従来の加工法では製造できない三次元複雑形状の高品質製品の製造が可能となってきている。また、製品の一体化や大幅なリードタイムの短縮を実現できることから、航空・宇宙分野をはじめとしてインプラントなどの医療分野や、エネルギー・産業機器分野などにおける高機能部品の加工技術として極めて重要となっている。
このような背景のもと、各国ではロードマップを作成し国家プロジェクトが実施されている。我が国においては、技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構(通称、TRAFAM)を設立して、2014年度から2018年度までの5年間で、金属3Dプリンタを制御用ソフトウェアおよび金属粉末とあわせて開発している。また、本技術はデジタル・マニュファクチャリング技術であることから、IoTやAIとの整合性がとれ、次世代の“ものづくり”における重要な加工技術の一つとして認識されてきている。このため、アメリカにおけるAmerica Makes、EUにおけるHorizon Europe、中国における“Made in China 2025”などのプロジェクトにおいて巨額の投資がなされ、研究開発が精力的に進められている。
本特集においては、「“ ものづくり”を革新する3Dプリンティング技術」と題して、この分野で活躍されている方々より解説ならびに事例を紹介していただく。また、本稿では本技術の最新動向と今後の展望について、金属AM技術を中心に紹介する。
キーワード:特集
【表紙の絵】
未来のファミリーレストラン
小原 芽莉 さん(当時10歳)
私の考えた機械は、これから起きるといわれている「食料危機」を乗り越えられる機械です。バクテリアの入っている機械に昆虫をいれると、バクテリアが昆虫をハンバーグやオムライス、カレーなどの味にします。色々な味になった物が穴からでてきます。最後に羽あり型ロボットが穴から落ちてきた物をお皿にならべてくれます。