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2018/12 Vol.121

よごれ0(ゼロ)ロボッ子
村越 心 さん(当時9 歳)
この‘よごれ0(ゼロ)ロボッ子’は、体が掃除機のようになっています。手は掃除のアイテムが出てくるようになっています。口はゴミを吸い込めるようになっています。そして、吸い込まれたゴミは大きなおなかに入り、それが‘よごれ0(ゼロ)ロボッ子’のごはんとなります。目はセンサーが付いていて部屋のよごれがあるとすぐに気づけるようになっています。足はモップで水などをふけます。モップは自由に動きます。頭にはアンテナが付いていて、電気に近づくと体全体が気づき、動くようになっています。これが‘よごれ0(ゼロ)ロボッ子’の仕組みです。

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特集 機械工学が拓くIoT技術

インフラIoTと機械工学

冨澤 泰〔(株)東芝〕

はじめに

本稿を執筆している最中にも、イタリア・ジェノバの道路橋崩落事故の報道があったが、インフラ構造物の老朽化は先進国共通の課題である。日本国内のインフラ構造物も、多くは昭和30年代に始まる高度経済成長期に建設された。例えば2m以上の長さを有する道路橋は、建設年度が判明しているものだけでも、現在国内に約40万橋存在しているが、2023年にはこのうち約43%が建設後50年を迎える。同様にトンネルの約34%、河川管理施設(水門など)の約43%が建設後50年に達する(1)。こうしたインフラ構造物の老朽化に起因する重大事故を防ぐためには、適切な維持管理が必須である。しかし、将来的な生産年齢人口の減少が不可避であると予想される以上、限られた人手や予算で維持管理を行えるように、これまでにない効率化を考えることが急務となっている(2)

こうした現状を背景に、深刻な損傷が発生してから初めて大規模な修繕を行う“事後保全型”の維持管理から、損傷がなるべく軽微なうちに補修を行ってしまう“予防保全型”への転換が求められている。国土交通省は2017年度に、今後20年間における直轄管理国道の維持管理を“事後保全型”と“予防保全型”の各モデルで実施した場合の修繕費を初めて試算した (3)図1

直近の数年間においては予防保全型の方が修繕費は高くなっているが、7〜8年後には逆に事後保全型のほうが高コストとなる。そして20年間の累計で考えると、予防保全型によって得られる総修繕費の縮減効果が約5,000億円にものぼるという結果となった。このような巨額の縮減効果が具体的に国によって示されたことは、今後の政策動向に非常に大きな影響を及ぼすと考えられる。

このような状況を踏まえて、IoT技術を導入したインフラの予防保全技術の開発が官民を挙げて進められている。これまで、予防保全の判断材料となる点検は、専ら目視や打音などの人手に頼った方法が主流であった。例えば、IoT技術によりデータを事前に自動スクリーニングすることで、人手による判断作業の回数を低減できれば、作業の効率化が図れる。また、将来的には複数のセンサ端末を環境に埋め込んだシステムによる、人手に頼らないヘルスモニタリングのような技術の導入が期待されている。IoTビジネスの本質は潜在ニーズの掘り起こしだとも言われるが、そうした中でもインフラIoTは、比較的顕在化した確実な需要と、ある程度の市場規模が期待できる分野だと考えられるだろう。

図1 予防保全による修繕費の削減効果(3)

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