特集 地球環境の変化を知る―技術はどのように貢献するか―
海洋酸性化と生物影響
第二のCO2問題:海洋酸性化とは何か
19世紀後半の産業革命以降、人類の生産活動によって莫大な化石燃料が燃焼され、二酸化炭素(CO2)が大気中に過剰に放出されている。CO2は温室効果ガスであるため、地球温暖化を促進している。産業革命以前に大気CO2濃度は約278 ppmであったが、現在大気中に残留するCO2濃度はすでにその約145%である403 ppmにまで達している(1)。大気中に放出された人為起源のCO2の年間総量は、2013年時点で約9.4GtC(ギガトン、炭素量に換算)と見積られる。このうち約2分の1が大気に残留し、地球温暖化の原因となる。そして約4分の1が土壌や陸上植物に、残りの4分の1が海洋に吸収される。この海洋に吸収されるCO2が原因となる「海洋酸性化」が、いま新たな環境問題として注目されている。
海洋酸性化とは、文字通り海洋の化学的な性質が酸性側に近づいていくことを指す。現在の海洋表面のpH(ピーエイチ、ペーハー、または水素イオン濃度指数と呼ぶ。0から14までの数で表され、7が中性であり、これ以下だと酸性、以上だとアルカリ性)はおよそ8.1程度の弱アルカリ性を示すが、これが大気中のCO2濃度の増加に連動して徐々に酸性側に近づいていく現象が、世界各地の長期観測によって明らかにされている(図1)(2)。
図1 ハワイ・マウナロア山頂で観測された大気中のCO2濃度(a)とハワイ沖観測ALOHAにおける海水のCO2濃度(b)、同海域のpH(c)の時系列変化。Doneyほか(2008)に加筆。
A mine arms
菅原 紡宜 くん(当時11 歳)
深海の生物と共生して、生態の謎を解き、深海生物の不思議な力を集めて、地上で使える新しいエネルギーに変換できる機械。
地底からレアメタルを採掘したり、海底火山の調査から地震を予知することもできる機械。