機械遺産のDNA
計量革命を起こした世界初のコンピュータスケール
図1 世界初のコンピュータスケール ACW-M-1 (左)(機械遺産第89号)
ACW-M-1試作機の稼働状況(右)
世界初のコンピュータスケール誕生
現場主義が組み合わせ計量方式を生んだ
1968年当時、農産物の袋詰め作業は、人手に頼っていたことから時間がかかり、また、詰め過ぎによる大きな損害が生じていた。この年の夏、高知県の農業協同組合から「ピーマンを一袋150gに袋詰めする作業を自動化して欲しい」との依頼を受け、開発に取り掛かった。当時、自動計量装置は、一般計量機(図2)が主流であったが、計量能力15回/分と遅く、計量精度も充填しながら計量するため、重さにバラツキがあるピーマン150g計量であれば、150gを超えるまで充填する必要があり、数十グラムを超える計量結果となってしまう状況であった。これでは、お客様が求めている能力、精度に達しないため、開発陣は、幾度となく現場に足を運び作業員が量っているところを観察した。農業協同組合では、作業員が台秤にピーマンを乗せながら、150g近辺になるようピーマンを入替えながら重さをうまく調整していた。この作業を見て、開発陣は、あらかじめピーマンを一個一個量った後に、150gに一番近い組み合わせを選べば、高精度な計量ができることを考えついた。「組み合わせ計量方式」の誕生である(図3)。
キーワード:機械遺産のDNA
【表紙の絵】
何でも作るくん
田中 雄惺くん(当時8歳)
何でも作るくんが何でも人が作りたいぶひんを出しかんせいまで作ってくれる。