特集 2018年度 年次大会
気軽に参加できる年次大会を
はじめに
本年度の年次大会は、『多様化する社会・技術への機械技術者の挑戦』をキャッチフレーズに〜「情報と機械の融合」、「社会構造変化への対応」、「革新技術への新展開」〜を大会テーマとしていますが、「機械学会に気軽に参加できる場づくり」が裏のキャッチフレーズかもしれません。この意識のもと、本年度実行委員会では年次大会を機械学会の活動を知る窓口とする仕掛けと、顔見知りではない会員間の交流を図っていただくための仕掛けを、そろばん勘定を重視する関西人としては断腸の思いで二つ仕掛けてみました。
一つ目の仕掛け
今回の年次大会では聴講のみの学生は、登録していただければ無料で参加可能にさせていただきました。当日スマートフォンからでも必要情報を入力していただき、学生証とともに登録画面を受付で提示さえしていただければ、参加用名札をお渡しします。学生にとっての対価は機械学会入会案内が一度送信されてくるというぐらい。これだけで、機械学会を構成する全部門が種々企画を提供している場に参加が可能となり、さらに大会3日目(11日(火))には学生会企画のイベントに参加して他大学の学生との交流の場を持つことも可能です。機械工学に直接関係する学科に所属している学生さんはもちろん、数学、医療、化学、原子力さらには文系の学生さんまで、機械学会の広い守備範囲に引っかかりうる学生さんは積極的に参加いただければと思います。このような仕掛けをしてみましたので、特に関西圏の学校関係者の会員の皆様はぜひ学内でPR活動にご協力ください。
二つ目の仕掛け
今回懇親会費を大幅に下げてみました。これは例年のような豪華なホテルではなく、学内施設で実施するからこそできることではありますが、それでも参加者が増えれば増えるほど赤字が増えるのを覚悟のうえでの決定です。年次大会では、月曜日に部門同好会、火曜日に懇親会と二日連続で意見交換の場を設けていますが、懇親会参加者は全参加者の一割程度に留まっています。今年は繁華街に繰り出す前の準備体操だと割り切って、一人でも多くの方に集まっていただければと考えています。実行委員会としては、普段交流のない方と知り合う場が提供できれば成功、という考えでの実施となります。なお、当日参加と事前申し込みでさほど金額に差はないのですが、人数把握のためにもぜひ事前申し込みにご協力いただけましたら助かります。
日曜の黄昏時には原酒を片手に(市民フォーラム)
年次大会はご自身が関係する日程のみ参加されて、会期目いっぱい参加される方の比率は落ちるというのが現状ではないかと思います。しかし、市民向け行事は9日の日曜日から開催されており、内容を見ると贅沢な企画が目白押しとなっています。東日本大震災の後、各学会が共通した課題として挙げていたのが平時における学会からの情報発信の不足でした。この大きな役割を果たせる可能性があるのが市民公開行事であり、今回も各部門・支部から多くの企画が提供されています。残念ながら実行委員会の力不足で、多くの企画が並行して実施されるため、複数の企画を渡り歩いて楽しんでいただくというわけにはいかないかもしれませんが、会員の皆様にも、ぜひ一つどこかの企画に顔を出していただければと思います。
今年度は、一般向け、高校生向け、小中学生向けと三種類の配布案内資料を作成してPRを行ってみました。小中学生が入っても本当に対応できるのか少し不安になる内容も正直ありますが、受け入れを表明てしている企画に登壇される方は、始める前にざっと見渡して小中学生がいたら、その子供達が将来機械技術者を目指したくなるような思いを伝える講演を意識してみてください。
小・中学生向けパンフレット
市民フォーラム一覧
9月9日(日)
イブニングセミナー
〜ウイスキーの魅力と不思議〜
実行委員会企画(要事前申込)
17:30-19:00
本年度は、実行委員会企画としてイブニングセミナーを設定しました。時間的には少しタイトではありますが、一応他の市民フォーラムがすべて終了する17:30の開始とし、黄昏時に原酒を傾けながら話を聞いていただければと思っています。内容は、サントリー株式会社様の全面協力のもと、世界的にも有名な名誉チーフブレンダーの輿水精一氏にご講演いただきます。実行委員は下打合せということで、サントリー山崎蒸留所に押しかけて、試飲させていただきましたが、同じ原酒が異なる樽の中で全く違う性格のものに熟成されていく様を実際に味わうと、ウイスキーの世界の面白さを実感できました。試飲の量は、酒好きには若干物足りないかもしれませんが十分楽しめます。また、原酒はアルコール度数が高いのですが、アルコールに弱い方も、口に含んでいただき、色、匂い、味を感じていただければ違いは明確に実感できます。試飲を伴う講演のため事前申し込みを前提としますが、試飲なしの聴講のみなら当日参加も可能です。また、未成年の方や車などの運転を終了後予定される方には試飲をご遠慮いただきますのでご了承ください。
講師:サントリースピリッツ(株)
名誉チーフブレンダー
輿水 精一 氏
山梨県出身。山梨大学工学部発酵生産学科卒業後、サントリー入社。中央研究所、酒類食品研究所でウィスキーの貯蔵・熟成の研究に従事。同社ブレンダー室チーフブレンダーを務め、退職後、名誉チーフブレンダーとなる。
意味的価値と機能的価値の関係性のデザイン
−機械工学の新たなチャレンジ−
関西支部企画(要事前申込み)
13:00-17:00
(1)開催挨拶・今日のねらい 田中 正夫(大阪大学)
(2)やさしいAI、人間の言語(オノマトペ)、認知、感性からの主観をとりいれた設計のアプローチ 坂本 真樹 (電気通信大学)
(3)不便益とは? -新たな価値のデザイン- 川上 浩司 (京都大学)
(4)再生医療におけるコトづくり 紀ノ岡 正博 (大阪大学)
(5)火力発電用ガスタービンにおける機能設計 正田 淳一郎 (三菱日立パワーシステムズ)
(6)総括 伊藤 宏幸 (ダイキン工業)
流れのふしぎ科学教室
流体工学部門企画
13:00-17:00
(1)楽しい流れの実験教室 石綿 良三、根本 光正(神奈川工科大学)
(2)教員・科学ボランティアのための研修会 石綿 良三、根本 光正(神奈川工科大学)
温めて動く機械スターリングエンジン
技術と社会部門、エンジンシステム部門企画
13:00-17:00
(1)低温度差スターリングエンジンの中を覗く 加藤 義隆 (大分大学)
(2)CGアニメーションを使ったスターリングエンジンの原理説明 佐藤 智明 (神奈川工科大学)
(3)低温度差スターリングエンジンの紹介
原発の放射能の安全対策の砦:フィルタベント
動力エネルギーシステム部門企画
13:00-14:30
(1)スイスの原発安全対策に学ぶ 奈良林 直(東京工業大学)
(2)フィルタベントの目的と仕組み 森島 誠(三菱重工業)
(3)フィルタベントの作り方と設置 田中 基(日立GEニュークリア・エナジー)、細見 健二(東芝)
(4)原子力防災とフィルタベント 岡本 孝司(東京大学)
エネルギーについて考える −知って欲しいこと,知りたいこと−
動力エネルギーシステム部門震災対応臨時委員会企画
14:40-17:30
(1)コージェネレーションシステムについて 浅野 等(神戸大学)
(2)いい電気と悪い電気 〜電気の質〜 梅川 尚嗣(関西大学)
(3)自然変動電源の大量導入の課題と対策 中垣 隆雄(早稲田大学)
(4)カーボンニュートラルとバイオ燃料について考える 細川 茂雄(神戸大学)
(5)高レベル廃棄物の地層処分って何? 川久保 政洋(原環センター)
(6)様々な原子力発電所 大川 富雄(電気通信大学)
(7)地熱とは違う地中熱の利用法 武田 哲明(山梨大学)
(8)冷暖房の省エネのために必要なこと −断熱とヒートポンプ− 永井 二郎(福井大学)
人をサポートする最新テクノロジー
機素潤滑設計部門、ロボティクス・メカトロニクス部門、機械力学・計測制御部門、技術と社会部門、バイオエンジニアリング部門企画
13:00-17:00
(1)自分でやりたいこと、機械にやってほしいこと:「便利」と「身体にいい」の間 大野 ゆう子(大阪大学)
(2)ロボティクスが可能にする無意識下での健康見守り技術 岡田 志麻(立命館大学)
(3)現場で役立つ介護ロボットの開発 河上 日出生(パナソニック エコソリューションズ社)
(4)義足・義手・装具に係る研究開発と病院での見守り機器の開発 北山 一郎(近畿大学)
脳科学とデザイン(基礎から応用まで)
設計工学・システム部門企画
13:00-15:00
(1)開催挨拶・ねらい 柳澤 秀吉 (東京大学)
(2)脳をリバースエンジニアリングする 高橋 宏知 (東京大学)
(3)創造性と脳 上田 一貴 (東京大学)
(4)脳賦活および生体情報を活用した生活支援機器の設計 綿貫 啓一 (埼玉大学)
(5)脳活動計測のデザインへの応用 加藤 健郎 (慶應義塾大学)
(6)Q&A、まとめ
AIで機械はどう変わるか
交通・物流部門企画
13:00-16:00
(1)人と関わるロボットの研究 吉川 雄一郎(大阪大学)
(2)人工知能は人と社会の関わりをどう変えるか 熊田 孝恒(京都大学)
(3)ロボットカーとロボット農機による近未来 深尾 隆則 (立命館大学)
宇宙サロン
〜広がる小型衛星,身近になる宇宙〜
宇宙工学部門企画
14:00-16:10
(1)超小型人工衛星が切り拓く新しい宇宙利用 中村 友哉 (アクセルスペース)
(2)市民衛星を核とした宇宙産業振興・社会貢献 S-NET 市民衛星プラットフォーム 山縣 雅紀 (市民衛星関ヶ原プロジェクト)
模擬裁判:「電動車椅子の安全性」を裁く
法工学専門会議企画 関西大学法科大学院共催
13:30-17:30
(1)仮想事故の態様と模擬裁判の狙い
(2)AI・ロボット技術の介護・福祉分野への応用の現状と課題
(3)模擬裁判
社会で活躍する技術 〜エネルギー、環境〜
技術者教育委員会、日本技術士会企画
13:30-17:00
(1)水素・燃料電池の開発状況と国際標準化(ISO, IEC)動向 田島 收(田島技術士事務所)
(2)IoT時代の市民にとっての機械 藤内 洋(三菱電機)
(3)航空機エンジンの革新的ものづくり体制における先端生産科学 都筑 亮一(川崎重工業)
(4)次世代発電技術(仮) 斉藤 一彦(三菱日立パワーシステムズ)
野球の投球における現場対科学の討論会
(パネルディスカッション)
スポーツ工学・ヒューマンダイナミクス部門企画
14:00-16:00
パネリスト: 山口 高志(関西大学:元阪神タイガース)、
溝田 武人(福岡工業大学)、神事 努(國學院大学)
ロボコンプロデュース2018(別会場での実施)
ロボティクス・メカトロニクス部門企画
10:00-16:00
(1)ロボットコンテスト審査
(2)ロボコン体験(一般公開)
9月9日(日)-12日(水)
機械遺産のポスター展示
技術と社会部門、実行委員会企画
9月10日(月)
未来社会の幸せと倫理
技術倫理委員会企画
14:00-17:00
(1)幸せと倫理 前野 隆司(慶應義塾大学)
(2)ワークショップ 技術は如何に人の幸せに貢献できるか 牧野 恵美 (東京理科大学)
2018年度 年次大会 実行委員会
キーワード:特集
【表紙の絵】
いつでもどこでもプリンプリン
塚本 拓心 くん(当時5歳)
ぼくはプリンが大好きです。いつでもどこでも食べることができるように、プリンを作る機械を考えました。牛さんからミルクをもらって、鶏さんから卵をもらってプリンを作ります。メロンののったプリンいちごののったプリン…が出てきます。「いただきます。パクパク。」あ~うれしいな、しあわせだな。