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2018/7 Vol.121

【表紙の絵】
みんな健康マシン
袴田 怜知 くん(当時8歳)

この機械の名前は「エンストターミル」。どんな病気やケガでも必ず治します。スーパーコンピューター50台分の性能があり、原因不明の病気でも情報を入力すると、正確に原因と治療法を診断してくれます。レーザー、薬剤、その他様々な物質を放出して、病気やケガを完治させます。
みんなが絶対に健康になれるマシンです。

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特集 計算力学技術者認定事業15周年

計算力学技術者認定事業の概要

吉村 忍(東京大学)

1.計算力学と解析技術者の質保証

本会誌の読者にとって「計算力学」は周知の事柄であるとは思うが、はじめに計算力学について簡単に述べる。

これから設計しようとする製品をコンピュータ上に仮想的に構築し、その中で変形や振動、熱伝導、流動などのさまざまな力学挙動を精密に評価することにより、製品開発の効率化を図り、同時に性能向上や品質向上を目指すのがデジタルエンジニアリングである。計算力学は、デジタルエンジニアリングの中核を担う基盤技術であり、あらゆる理工学分野で活用され、医学分野にも活発に応用が進んできている。計算力学は、エンジニアリングの現場では、CADやCAMと対比されてCAE(Computer-Aided Engineering)とも呼ばれている。

計算力学の普及が進んできた背景には、高性能かつ廉価で使いやすいコンピュータやOSの普及や、そのような環境でさまざまな汎用計算力学ソフトウェアが利用できるようになってきたことが挙げられる。その結果、計算力学のユーザー層が急速に広がってきた。しかし、GUI(Graphical User Interface)が整備されてデータ入力が簡便になり、可視化技術の進歩によって解析結果がきれいに表示されるようになってきたとはいえ、計算力学ソフトウェアをブラックボックス的に利用して信頼できる解を得ることはまだできない。一見すると最もらしい解析結果が得られたとしても、不適切な要素分割、境界条件の設定間違い、あるいは不適切なアルゴリズムの選択などによって、全く見当違いな解析結果を得ているかもしれないという危険性を常に孕んでいる。信頼できる解析結果を基に設計すれば高性能の製品開発や安全性に優れた製品開発を効率的に行える反面、間違った解析結果に基づき設計・製造を行った場合には、性能不足や事故などの大きな損失に繋がる。したがって、計算力学のメリットを最大限に活用するためには、計算力学ソフトウェアの品質保証に加えて、計算力学技術者の質保証を行い、計算力学解析の信頼性を担保することが大変重要である。解析の信頼性は、現在V&V(Verification & Validation:検証と妥当性確認)とも言われる。

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