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2018/6 Vol.121

【表紙の絵】
「くもをすいこんでたべものにかえるきかい」
井岡 武志 くん(当時6歳)
うえのえんとつからくもをすいこんで、きかいのなかでたべものや、おさら、スプーンにかえるきかいです。
できたたべものはベルトコンベアーではこばれて、おきゃくさんのどうぶつたちが、たのしみにならんでまってます。

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特集 ユーザーエクスペリエンス

サービス、プロダクトとUXデザイン

山崎 和彦(千葉工業大学)

はじめに

近年、商品・サービスやシステムの企画設計する場合にUX(User Experience)を考慮することが一般的になりつつある。UXを考慮したデザインアプローチをUXデザイン(User Experience Design)と呼ぶ。UXデザインとは、「ユーザーエクスペリエンスを大切にしたデザインアプローチ」であり、UXを考慮するとは「UXの要素である時間軸、環境軸と人間軸を考慮する」ことである。

UXにおける時間軸とは、「できごと」など時間軸でのユーザーの体験で、長い時間を考慮する必要がある。例えば、製品やサービスを使用する前の時間を考慮したり、数年間の使用していく期間を考慮することである。環境軸とは、「人間をとりまく人工物や人間」を考慮することであり、状況的視点と言い換えることもできる。例えば、スマートフォンのアプリの場合、客先でのプレゼンテーションの状況を考慮したり、駅の構内という状況を考慮したりすることである。人間軸とは、人間の感性、多様性、可変性などに着目することである。例えば、使いやすいという感想だけでなく嬉しい気持ちを考慮したり、個人によって感情が変わることや、相手によって気持ちが変化することを考慮することである。

特に人間軸の人間の感性という視点で、UXデザインと感性の関わりを整理するために、(1)必要な情報(インプット)と、最終的な(2)デザイン表現(アウトプット)に分けることができる。

(1)必要な情報(インプット)とは、UXデザインの調査段階に、ユーザーがどのような体験をしているか理解するために、ユーザー調査を実施してユーザー情報を整理することである。ここではUXのインプットとしてユーザー情報という視点で感性を整理する。ユーザー情報とは、ユーザーに関わる情報としてユーザーがどのような状況であるかという客観的な情報と、ユーザーがどのように感じているのかという主観的な情報がある。感性に関わる情報はこの主観的な情報の一つである。感性に関連するユーザーの情報として、五感情報、感性情報、情動情報の三段階で整理することができる。

(2)デザイン表現(アウトプット)とは、UXデザインの表現段階に、ユーザーがどのような体験をしたらよいのか提案し、その体験のために必要なデザイン対象を表現することである。UXデザインのアウトプットとして表現という視点で感性を整理すると、感性デザインなどに代表される感性を論理的に検討するアプローチ、感性の表現から論理を読み取ろうとするデザイン言語のアプローチや、感性からデザインしていくアート的なアプローチなどがある。

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