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2018/4 Vol.121

【表紙の絵】
「あいするこころロボット!!」
齋藤 佑陽 くん(当時5 歳)
人間ができないことが何でもできる
ロボットがあったらいいな。

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おもしろイベント報告

デジタルファブリケーションを使った“ものづくり” 体験

東北大学・カタールサイエンスキャンパス教育セミナー共催事業

まずはイベントの報告から

2017年7月31日(月)に東北大学・カタールサイエンスキャンパス教育セミナーとの共催で「デジタルファブリケーションを使った“ものづくり”体験」を実施した。今回は、小・中・高・特別支援学校の35名の先生方が出席した。

本セミナーの前半は、宮城教育大学教育学部 門田 和雄 准教授の指導のもと、実習形式で行った。具体的には、各自3D CAD「Fusion360」を操作しながら立体名札のデータを作成し、3Dプリンタで造形するという内容だ。ほとんどの参加者が3Dの造形体験は初めてだったが、見事にそれをクリアした。また、造形が終了するまでの間、3Dプリンタの歴史や各国での活用事例の紹介を通して、今後の活用方法を考える時間となった。

後半では、(株)IHI 技術開発本部 根岸 孝二 氏に『3Dプリンタ技術の現在と未来』をテーマとして、産業界での3Dプリンタ活用の最近の動向と今後の展開予想についてお話しいただいた。3Dプリンタの分類、各方式の造形法の違いや、活用がものづくりにどんな変化とメリットを生み出したかの説明をうけた。さらに金属3Dプリンタでビルや家をそのまま建設する未来や、設計データの一本化など、近い将来の3Dプリンタ社会の到来を実感する機会となった。

3Dプリンタの実習風景

 

3Dプリンタ技術に関する講習の様子

 

3D造形の様子

 

本イベントから将来のものづくりを考える

総務省のHPによると(1)、デジタルファブリケーションとは、デジタルデータをもとに創造物を制作する技術のこと、とある。これまで作製困難だったものを作製できる点、ものづくりを専門としない人たちが自由な発想で参画できる点など、アイディア一つで誰でも新しいものを生み出せる非常にユニークな技術である。

もちろんこの考え方を危惧する声もあるが、これまで日本が培ってきた匠の技と、デジタルファブリケーションによるものづくりとが融合すれば、思い描いたものを何でも生み出す“夢のようなものづくり”が実現できるのではないだろうか。

このようなワクワクを、分野を問わずたくさんの人たちに届けるべく、今後もこのような企画を進めていきたい。

最後に、本イベントの開催にあたり講師を務めた先生方、共催の東北大学の関係各位、すべての関係者に心より感謝申し上げる。

 

水谷 正義(東北大学)


(1) 平成28年版 情報通信白書 第1部

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc141330.html

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