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2018/4 Vol.121

【表紙の絵】
「あいするこころロボット!!」
齋藤 佑陽 くん(当時5 歳)
人間ができないことが何でもできる
ロボットがあったらいいな。

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特集 オリンピック・パラリンピックに貢献するスポーツ工学

競技スポーツにおける計算力学を用いた用具開発

松田 昭博(筑波大学)

図1 筋骨格シミュレーションの例(1)

左図:正対時、右図:競泳の飛び込み動作の再現

はじめに

オリンピック・パラリンピックなどの競技スポーツでより良い結果を得るために、スポーツ用具の研究・開発が盛んに行われている。2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催される。アスリートの好成績に期待が寄せられる一方、スポーツ用具の研究・開発に対しても多くの機械系のエンジニアが従事しており、スポーツ用具の技術開発を支えている。

陸上競技におけるシューズ、テニスのラケットやサッカーのボール、冬季競技におけるスノーボード、ボブスレーなど、その競技に特化したスポーツ用具が用いられ、スポーツ用具の性能の差が競技の成績に影響を与えることが認知されている。しかし、これらのスポーツ用具の研究・開発に費やせる時間は十分とは言えないため、試行錯誤を減らすために、計算力学の適用が重要である。

計算力学を用いてものづくりをすすめる方法としてCAE(Computer Aided Engineering)がある。この手法は、計算機上の試作品を用いてシミュレーションを繰り返すことで、従来行われていた試作品によるテストや実験の回数を減らすことができる。そのため、自動車や航空機の設計・開発などでは多数の実績がある。

スポーツ用具のCAEに適用されている計算力学の手法としては、有限要素法(Finite Element Analysis)による剛性の評価と、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics)による流れ計算の二つが主流となっており、近年では人体の筋活動を再現する筋骨格シミュレーション図1)などの適用が検討されている(1)〜(3)

ここでは、競技スポーツにおける計算力学を用いた研究・開発の例について紹介する。

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