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2018/2 Vol.121

【表紙の絵】
「エコな飛行機」
佐藤 想士 くん(当時10 歳)

地球から出たよごれた空気を吸う事で空を飛び、きれいな空気に変換して排出します。緑の少ない土地には種をまきます。
皆、この飛行機が大好きです!!

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おもしろイベント報告

「温めて動く機械スターリングエンジン」

年次大会市民フォーラム

5組限定2017年型低温度差スターリングエンジンの組立実習

 

生々しい現実をみせてしまった

2017年9月3日(日)に埼玉大学で実施した「5組限定」2017年型低温度差スターリングエンジンの組立実習は、企画の意図がスターリングエンジンの内部を生々しく公開することであったが、参加者5組中2組しか動作せず、「動かないスターリングエンジンが珍しくない」という生々しい現実をさらけ出した。

使用したスターリングエンジン

写真1のスターリングエンジンを組立てた。このエンジンは一台当たりの費用(部品加工アルバイト代と材料費)を2,000円以下に抑え、組み立てに際して微妙な調整が必要ないように設計した(1)。手工業的に複数台を製造するため、個人が一点物で製作するスターリングエンジン(2)とは異なる。

今回の組立実習では、事前に途中まで組立てたもの(3)を使用し、主にディスプレーサチャンバの組み立てを抜粋して行った。

写真1 組み立てたスターリングエンジン

5台中3台の失敗

冒頭で述べたとおり、参加者には申し訳ないことに、意図した動作は叶わなかった。後日確認した不具合の原因をここで報告する。

1台は後日正常に動作しており、熱源の電気ヒータと加熱側伝熱面の接触の悪さが、当日の不具合の原因であった。お湯を熱源にするのが最も良い方法であるが、遠隔地での開催では濡れティッシュを電気ヒータとの間に挟んで対処している。

もう1台は、当日の部品加工で判断の誤りがあり、「ディスプレーサ」と呼ばれる部品のサイズが大きく、内部で接触があったためである。

最後の1台は、配布したフライホイルに不具合があった。本来は長さ10cmの塩ビ板2枚が、M3のナット1個分の隙間をあけて留められたものである。たわみにより、隙間が広くなり、摩擦を増やしていた。フライホイルのたわみは、これまで問題を起こすと認識していなかった。これは、組立手順で改善できるため、マニュアルを改善することになった。

工作は子供の遊びか?

年次大会の市民フォーラムでは、開催が1回に限られるため、限られた時間でスターリングエンジンに触れて、中を見てもらうことに焦点を絞っている。

年齢や立場、目的で参加者の選別をする必要がないのが、本会の市民フォーラムの長所だと感じる。写真2のように、未成年の参加者は半分以下である。

なお、本企画全体については、技術と社会部門のニュースレターで報告予定である。

加藤 義隆(大分大学)

写真2 実習の様子

 


参考文献:

(1)加藤義隆, 組み立ての微調整を排する低温度差スターリングエンジンの設計, 第20回スターリングサイクルシンポジウム講演論文集, (2017), M06.

(2)加藤義隆, An introduction to DIY by handicraft of a low temperature differential Stirling engine written in Japanese スターリングエンジンの手作りでDIY入門, (2017) , pp.168, デザインエッグ社.

(3)加藤義隆, 5組限定低温度差スターリングエンジンの組立実習, 2016年度年次大会講演論文集, C201001.

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