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2017/12 Vol.120

【表紙の絵】
「オゾンホール修復飛行船O3-ZES21」
久保 竜希 くん(当時10 歳)
O3-ZES21( オーゼス21:O Zone Eco Ship 21 century)この機械は飛行船にオゾン発生装置を取り付けて、上空で飛行しながらオゾンを製造し、オゾンホールをふさぎます。燃料はいりません。晴れの日は屋根のソーラーパネルで、曇りや雨の日はプロペラと、オゾン発生装置のファンが回ることで電気を作れます。出発前に地上でCO2 を取り込んで、上空でO3 に変えて、放出します。O3-ZES21 の作ったオゾンのおかげでオゾンホールがなくなり、紫外線がさえぎられて、南極の生き物が大喜びしています。

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特集 今、欠陥をあやつる

欠陥が拓く新材料

宮崎 康次(九州工業大学)

図2 拡散輸送(ランダムウォーク)で孔の背後にも回り込む電子と弾道輸送で孔を回り込まないフォノン輸送(下)の概念図。

 

はじめに

熱設計と物性値

機械の熱設計をする際、材料のもつ熱物性値をハンドブック(1)から調べ、伝熱計算(2)していくのが一般的で、熱設計の仕様に合う材料を選び出すのが通常の作業と思う。そこには材料が決まれば熱物性値(比熱、熱伝導率など)が決まる考え方がベースになっている。機械システムで熱エネルギー利用が主となっていて、自由な熱設計が可能な場合は問題ないが、例えば集積回路をはじめとする電子機器では、まずは電子機器が作動することに重きが置かれるだろう。その場合、半導体から絶縁体までの材料を含めた電気的な機能設計が行われた後に熱設計を行うため(3)、熱設計に合う材料選択の幅がほとんどなくなり、要求の厳しくなる仕様にどう対応すべきか、回り回って熱設計の限界が電子デバイスの限界に直結するという深刻な状況に陥ってしまう。このような状況に対して、熱伝導率といった熱物性値が材料に依存せず、もし形状によって熱物性を自在に制御できれば、熱設計の幅が広がり、熱制御基盤技術として極めて重要な技術となるだろう。そのため、フォノンエンジニアリング(4)といったキーワードが近年盛んに使われるようになってきた。

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