特集 考えるCAE:ものごとの本質を捉える1DCAE
1DCAEの背景、考え方、課題、今後
ものづくりの変遷
顧客ニーズの多様化と製品・システムの複合化
ものづくりにおいて設計と生産は車の両輪である。設計はものづくりの方向を決める前輪であり、生産はものづくりを加速する後輪とも言える。ものづくりの規模が小さく、複雑でなかった時代は設計と生産は一体となり、いわゆるものづくりが行われていた。このような時代においてはものづくりを行う技術者の能力にものづくりの良否は大きく影響していた。その後、人の生活を豊かにする人工物が大量生産技術の向上により、世の中に充足してくるとともにものづくりの研究、技術も飛躍的に向上した。この時期において、特に日本の生産技術は世界をリードしていた。また、設計においても日本発のオリジナル製品が創出された。1950 年代から1980年代まではこのような人工物が世界の人類の生活を物質的に豊かにした時代と言える。図1 に主に1950 年代以降のものづくりの変遷を示す。
図1 ものづくりの変遷
1990 年代以降は人工物の充足とともに環境問題も加わり、ものづくりは新たな局面を迎える。物質的に充足した状態で精神的な充足を目的としたものづくりが始まった。これにはインターネットをはじめとするIT 技術の進化、顧客ニーズの多様化も連動している。また、製品の形態も1980 年代まではメカを中心とした人工物が主体であったが、1990年代以降は最終形態としてはメカであるが実態はメカという衣装をまとったメカ・エレキ・ソフト融合製品が主体となった。これに伴いものづくりも大きく変化、これに追従できない企業は衰退、設計研究においても多様化が進んでいる。このような背景のもと、大量生産技術に機軸を置いた日本のものづくりは相対的に弱体化の兆候を示すようになった。
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【表紙の絵】
「おばけたいじロボット」
白石 煌惺 ちゃん(当時7歳)
自分のお部屋で寝ようとすると、暗闇の中からおばけに見えてしまう服やクローゼットが出て来るのをビームでやっつけてくれるロボットが欲しいです。