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2017/8 Vol.120

未来型かかし「Farmer」ファーマー
村越 水 さん(当時 14 歳)
本来、鳥から農作物を守るために建てられた‘かかし’ですが、もっと有効に活用しようと考えました。
笠の先端にはスプリンクラーが設置され水を自動的に放出します。笠が回り、鈴を鳴らして農作物を熊や鳥か
ら守ります。
腕から提げられた取り外し可能な籠は、収穫した野菜の重さを測ることができます。
両腕の先端は防犯カメラで 360 度監視します。カメラはもちろん‘かかし’の胴体も回ります。
異常があれば口に模したスピーカーからサイレンが鳴ります。
‘かかし’の背中にあるボックスに生ゴミや抜いた雑草を入れてセットすると堆肥になって出てきます。
これらはコンピュータ機能で管理し、笠に設置された太陽光の電気により動きます。

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特集 2017年度 年次大会

特別講演 「人生に関わるホルモンの話」

坂井 貴文 氏(埼玉大学)

内分泌学を専門とする研究者・教育者で、内分泌学の他、ホルモンの
産生・分泌制御およびその生理作用、脳腸相関を含む消化管機能調節
機構などの消化管生理学に関する先駆的な研究をされている。本講演で
は、ホルモンについてわかりやすくお話しいただく。

 

 

 

埼玉大学大学院理工学研究科
戦略的研究部門
教授・図書館長 坂井 貴文 氏

 

 

 

社会生活を営むうえでも、さまざまなストレスに曝されています。このような外乱があっても、常に同じ状態で活動が続けられるよう、体内では複雑な調節によって恒常性が維持されています。これは、脳や末梢神経を含む神経系、感染と戦う免疫系やホルモンを介する内分泌系が互いに協調しあって体内の変化を最小限になるよう調節している結果なのです。

本講演では、恒常性の維持に重要な内分泌現象に焦点を当て、ホルモンが働く仕組みや、日頃あまり知られていないホルモンの作用についてお話しします。特に、近年の研究からホルモンの意外な作用が明らかにされてきたことを中心に、人生のさまざまな場面で働いているホルモンについて以下の三点を紹介します。

 
(1)ヒトの性別を決めるホルモン

ヒトの性別は性染色体の組み合わせで決まることはよく知られていますが、性染色体と性別の決定の間にはホルモンが介在しています。これは、性別がホルモン濃度によって影響を受けることを意味します。性別が決定される仕組みと、性の多様性についてお話しします。

 
(2)愛のホルモン

最近の研究から、分娩時に子宮を収縮させるホルモンとして知られているオキシトシンや抗利尿ホルモンのバソプレッシンが脳に働いて信頼や愛情をコントロールすることが明らかになってきました。ヒトと動物のデータを紹介し、ホルモンが高次の行動にも影響を与えることを説明します。

 
(3)空腹時の腹を鳴らすホルモン

誰でも空腹時に腹鳴がして恥ずかしい思いをしたことがあると思います。この時には、十二指腸からモチリンと呼ばれるホルモンが分泌されて、胃から小腸へと向かう強い蠕(ぜん)動運動が起こっています。ホルモンが臓器の機械的な運動にも働くことを紹介します。

これらの話を通して、ホルモンが我々の生活や人生に大きな影響を及ぼしていること知っていただければと思います。



 

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