エンジニアリング教育の達成度評価 ~テスト問題バンクの取り組み~
第5回 工学分野におけるテスト問題開発:OECD-AHELO(2)
* 第4回からの続き
3. テスト問題作成(1)
AHELO 専門家会合において定義された学習成果の概念枠組(1)にもとづいて、AHELO-FSでは土木工学分野について図1 のような「工学アセスメントのための能力枠組」が形成された。ここでは、「工学基礎・専門」と工学分野における「一般的技能」が、より高次のコンピテンスとしての「分析」「デザイン」「実践」から構成される「工学プロセス」を下支えすると概念化している。そして、「工学基礎・専門」は、基礎的な知識・技能の習得度を測定することに適した多肢選択式問題で、「工学プロセス」および工学分野における「一般的技能」は、「考え方」を測定することに適した記述式問題でとらえる方針とし、テスト問題の開発が行われた。テスト問題の開発は、AHELOコンソーシアムの工学チーム側で準備した原案を工学専門家から構成される委員会で精査する方法で確定された。各問題について、測定しようとする能力、難易度、解答の観点と水準、配点を明記した採点ルーブリックが合わせて開発された。
記述式問題例をコラム1 に示す(2)。フーバーダムを対象として、「技術者としての考え方を問う」内容の設問となっている。このような記述式問題が12問作成され、そのうち領域や難易度を考慮して4問が採択され、国際通用性を高めるための修正が加えられた。コラム2 は評価しようとしている学習成果の範囲と水準規定の例である。それぞれの観点について、どの程度書けていれば、何点を配点するかについて、国際ならびに国内採点トレーニングのなかで合意が形成された。
なお、多肢選択式問題は、日本側から提案したもの(技術士第一次試験の水準の問題)が採択され、国際通用性を高めるための修正が加えられた。
キーワード:エンジニアリング教育の達成度評価
「オゾンホールの穴をうめて
地球温暖化STOP」
塚本 心汰くん(当時8 歳)
地球温暖化の原因ともなっているオゾンホールをうめて、もとのようなオゾン層を作る機械です。
太陽からのエネルギーをパネルで受けとめて動きます。
機械本体で作ったオゾンを、ホールに流し込みうめていく仕組みです。
地球を守るために、大活躍。