特集「KAGRA ~時空のさざ波をとらえる~」
KAGRAにおける極低温冷却装置
1. KAGRA 極低温冷却装置の概要
干渉計の鏡を冷却する目的は、鏡内部の熱雑音を抑制し、量子雑音レベルの計測を行うことにある。大パワーレーザ光の照射を常に受ける干渉計の鏡は、鏡の基材と反射膜のわずかな光吸収が発熱源となって熱雑音が発生する。さらに鏡を観測帯域中で自由質点として運動させるため、鏡は振子状に懸架され、超高真空中に置かれると同時に鏡の位置変化を伴わない無振動の冷却が求められる。
KAGRA ではこれらの要請を満たすべくクライオスタットと超低振動冷凍機ユニットを組み合わせた極低温冷却装置により干渉計の鏡を絶対温度20K まで無振動で冷却することが計画された。
この計画に従って立案されたKAGRA 極低温冷却装置の3D 図と構成模式図を図1(a)と(b)に示す。極低温冷却装置は4台の超低振動冷凍機ユニットと鏡冷却用クライオスタット1台ならびに2台の冷凍機付き多重バッフル付きダクト型輻射シールドから構成され、低温懸架システムと呼ばれる鏡とその懸架構造体の冷却を行う。鏡の冷却と低温保持を行うクライオスタットは、干渉計の一部を構成する関係上、常温に向かう開口面が存在する。レーザ光路である3km の長さの常温真空ダクト接続部、鏡懸架系を支える常温側高性能防振装置との機械的結合部はクライオスタットの代表的な開口面である。一方、この開口部から低温部への輻射による熱負荷はクライオスタットの冷却性能を損なう。この熱負荷を防ぐため、最も大きな開口面であるクライオスタットのビームダクト両端に80K まで冷却された多重バッフル付きダクト型輻射シールドが接続されている。さらにKAGRAの極低温冷却装置では冷却対象である低温懸架システムの冷却を高純度金属の高熱伝導率と小型のヘリウム冷凍機を利用した伝導冷却により行っている。極低温冷却装置の冷熱源として小型のヘリウム冷凍機を採用した結果、トンネル内という閉鎖空間での冷媒ガス保有量の軽減にも貢献している。
本稿では、KAGRA 極低温冷却装置の内、主要な構成要素であるクライオスタットならびに超低振動冷凍機ユニットについて解説する。
キーワード:特集
「オゾンホールの穴をうめて
地球温暖化STOP」
塚本 心汰くん(当時8 歳)
地球温暖化の原因ともなっているオゾンホールをうめて、もとのようなオゾン層を作る機械です。
太陽からのエネルギーをパネルで受けとめて動きます。
機械本体で作ったオゾンを、ホールに流し込みうめていく仕組みです。
地球を守るために、大活躍。