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2017/5 Vol.120

【表紙の絵】
「なかまを増やすロボット」
乙成 華菜 さん(当時10 歳)
このロボットは、はんしょくするロボットです。人が少ない年齢はどこかをみて、大人でも自分より年上じゃなければうむことができ、少子化を防げます。(一部抜粋)

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特集 機械工学のフロンティアを切り開くバイオエンジニアリング

メカノバイオロジーの誕生と今後の展望

曽我部 正博(名古屋大学)

はじめに

メカノバイオロジーの意義

メカノバイオロジーは、「生体における力の役割とその仕組みを明らかにする学問」であり、ここ10年で急速に興隆してきた新しい融合領域である。ただし、力と生物に関連する学問は古くから存在する。聴覚、触覚、内臓感覚や筋感覚などの機械感覚は、生理学の花形テーマであった。また循環器学、運動生理学、マクロ解剖学、バイオメカニクスにおいても力は中心概念であり、整形外科や歯科、あるいは理学・作業療法や整体・操体法などは、力を利用した治療法としての長い歴史がある。最近では、補綴工学の発展形として、運動補助・介護ロボットの研究も盛んである。

このように、メカノバイオロジーに関連する分野は極めて広範で長い歴史を有するが、分野間の連携は乏しくまとまりを欠いている。その主たる原因は、これらの分野に通底する最も根本的な課題「生体に対する力の作用機序」の解明が遅れていることにある。メカノバイオロジーは、この問題を克服して関連諸分野を統一された体系の中で合理的に位置づける可能性をもっている。そうなれば、すでに実績のある諸分野の相互刺激と有機的連携が格段に進み、飛躍的な発展が期待できる。

以下、メカノバイオロジーの中核である「力覚」を中心にメカノバイオロジー誕生の軌跡と今後について考察する。

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