おもしろイベント報告①
小・中学生のためのものづくり体験教室 不思議なガリガリとんぼ
ものづくりの楽しさを子供たちに
ギザギザがついた棒の先端にプロペラを付け、そのギザギザを棒でこすると、先端のプロペラがぐるぐると回転。これが、「ガリガリとんぼ」。アメリカの先住民がその発祥元とも言われ、世界各地で親しまれている伝承玩具である。今回のものづくり体験教室では、「ガリガリとんぼを、木で一から作ること」を題材として取りあげた。
小・中学生向けの工作遊びは、現在、非常に減っている。児童雑誌についていた、紙製の組み立て付録は、この10年でほとんど姿を消した。また、子供の工作遊びの主役であったプラモデルも、今はマニア向けが残っているにすぎない。現在、子供の遊びの中心は、ゲーム。子供が手でものを作る遊び自体が、絶滅の危機に瀕していると言える。
夏休みの1日、名古屋市のトヨタ産業技術記念館に、元気な小・中学生が集まった。本企画は、「機械の日・機械週間」キャンペーンの一環として、愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会の後援により開催。小・中学生を対象に、子供たちが工作に主体的に取り組み、完成させる喜びを体験し、力学の基本的概念を体感することで機械工学に興味を持ってもらうことを目的としている。
東海支部シニア会のスタッフによる工作指導
タイトル | 不思議なガリガリとんぼ |
開催日 | 2016 年8 月5 日 |
開催場所 | 愛知県名古屋市・トヨタ産業技術記念館館 |
主催者 | 東海支部 |
主な対象 | 小学生・中学生 |
主な作業 | 木製ガリガリとんぼの作成 |
参加人数 | 小・中学生37 名、保護者25 名 |
手作業で作り、工夫して遊ぶ
製作作業は、「棒やすりを使って、支持棒の木を削る」「マーカーで、プロペラに色をぬる」「プラスドライバーを使って、プロペラを支持棒の先に取り付ける」という3工程。子供たちは、工具の取り扱いに苦労。中でも、棒やすりで支持棒にギザギザを作る作業は、左右の手先の連動が必要で、子供たちは悪戦苦闘。が、子供たちは苦労しながらも熱心に取り組み、作業が進むにつれ、どんどん慣れていく様子が見られた。
製作作業後は、回し方の習得。「どのように持ってどのようにギザギザをこすると、よりよくプロペラが回るか」を、子供たちはいろいろ工夫して取り組んでいた。
この玩具の力学的な仕組みは、「振動」と「回転」。支持棒の直交する側面で発生した振動は、先端のプロペラ軸で位相差が生じ、プロペラが回転する。そして、支持棒の押さえ方、こすり方等で、回転方向や速さが変化する。このことを、子供たちは色々と工夫しながら、少しずつ習得していっていた。こうして、ガリガリ・ギイギイと支持棒をこする音と子供たちの歓声が、会場を満たした。
最後に、参加者全員が審査員となり審査会。見た目のきれいさや回転のうまさを基準に審査を行ない、最優秀賞・優秀賞・優良賞を選出し、トロフィーの授与をした。
用意したもの:ガリガリとんぼの部品・定規・棒やすり・マーカー・プラスドライバー・えんぴつ・表彰用トロフィー
製作作業の様子
満足度は高水準
工作について、子供たちの感想は、「面白かった」+「やや面白かった」の合計で全体の94%を占めた。
今回の工作の指導には、刈谷少年少女発明クラブ・東海支部シニア会・愛知工科大学学生の皆さんにご協力をいただいた。事前の準備、当日の運営は大変だったが、とても充実した時間を過ごすことができた。この場を借りて、ご協力いただいた皆さんにお礼を申し上げます。
伊藤 信幸〔(株)豊田自動織機〕
キーワード:おもしろイベント報告
【表紙の絵】
「おはないっぱいさかせロボット」
内田 侑希ちゃん(当時5 歳)
大好きなお花をいっぱい咲かせてくれるロボットがあったらいいな。
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