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2017/2 Vol.120

【表紙の絵】
「アレルギー物質がパパッとわかるメガネ」&「モニターロボ」
伊藤 心くん(当時9 歳)

このメガネはウエアラブルコンピューターメガネの未来型で、食物アレルギーがある人のために作られました。
メガネの横の黄色い部分から赤外線が出るので、物質の持つ波長のちがいから、中に入っている物質がわかります。
そのデータをロボットに通信してモニターロボに結果を表示します。
事前に自分のアレルギー物質を登録しておけば、食べられるかどうか瞬時に判断できます。
ぼくはナッツアレルギーですが、このケーキはOK マークが出たので食べることができます。

*作者の伊藤 心くんは2016年7月15~17日開催の「口笛世界大会2016 ジュニアの部」で優勝しました。
http://whistling.jp/wwc/wwc2016/wwc2016-results
http://www.akita-u.ac.jp/honbu/event/item.cgi?pro6&849

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おもしろイベント報告②

ペーパー風力発電機を作ろう!

風車じゃないよ、発電機だよ!

「身近な風力発電」を体験してもらいたい

風力は、近年、環境にやさしいエネルギーとして、太陽光・地熱などとともに注目を浴びている。しかし、風力発電装置は海上や山間部などに設置されており、我々や子供たちが身近に見られるものではない。一方、「風かざぐるま車」は子供たちにとって、身近なおもちゃである。ペットボトルでの工作もかなり一般的になっており、紙でも簡単に作れる。

ならば、簡単な紙製の風車を使って、風力発電を体験する機会を子供たちに与えられないだろうか? こういう考えから、本イベントはスタートした。

タイトル ペーパー風力発電機を作ろう!
開催日 2016 年8 月20 日
開催場所 栃木県足利市・足利工業大学大前キャンパス・工学部
主催者 足利工業大学
主な対象 小学生・中学生
主な作業 紙製風力発電機の製作
参加人数 小中学生12 名

用意した製作キットと工作用品


子供たちの歓声があがった

夏休み後半の一日、小中学生12名と、その保護者が、会場の足利工業大学に集まった。

まず始めは、風力発電の仕組み・種類を簡単に解説。風エネルギーが回転エネルギーに変換され、さらに、発電機により電力に変換される仕組みを、スライドを使って説明した。

次に、紙製の風車、発電装置、LED 使用の発光装置の組み立て・接続の作業をした。製作キットは、神戸高専・早稲田先生考案のものを使用。写真(上)のように、水を入れたペットボトルを土台とし、そこにLED を付ける。そして、その上に紙製のタワーを立て、風車と発電機を載せる構造。小学生にとっては難しい部分もあったが、保護者の方やスタッフの学生が手助けをして、全員が2時間の時間内に完成させた。

最後に扇風機の風を当てると、紙製の風車が風を受けて力強く回転。そして、LED が点灯。子供たちの歓声が上がった。LED が点灯した後も、参加者は興味が尽きない様子で、風量を変化させて明るさの変化を確認したり、翼形状の工夫で弱い風でも回ることを見つけたりと、熱心に実験が続けられた。

協力してくれた皆さんに感謝!

今回のペーパークラフトは、我々が初めて扱う教材で、組み立て難易度が高いため、子供たちが完成させられない懸念があった。しかし、子供たちは驚くほど器用に、三次元形状の風車翼や、発電機の取り付け作業をこなしていた。難度の高さは作り甲斐があることの裏返しであり、子供たちも飽きずに組み立てを楽しんでくれた様子である。最終的に全員がLED を点灯させることができ、満足してもらえたと思う。

完成したペーパー風力発電機

順調な進行はアシスタントの学生に負うところも大きい。今回は時間が短いため、型紙からの部品切り出しを学生たちが事前に実施した。1 セット1時間近くかかり、非常に長時間の作業になった。さらに彼らには、組み立ての指導の練習に数時間を割いてもらった。しかし、この切り出し済みの状態(写真左下)からのスタートでも、2時間ぎりぎりで完成という結果だった。今後継続的に実施するために、この点の改良を検討する。

保護者の方から、近年「ものづくり」以外の遊びが多い中、「ものづくり」を体験できる機会があってありがたい、とのご意見をいただいた。イベント全体を通して親子ともに科学と「ものづくり」の楽しさを感じていただけた様子だった。

飯野 光政(足利工業大学)

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