会長挨拶
創立120周年を迎えて
日本機械学会は1897 年(明治30 年)6 月12日に創立されました。その年の12 月に「機械學會誌」が創刊されています。本号からは第120 巻に入ります。本誌は、明治から大正・昭和・平成と続く激動の時代において、わが国の機械工学が発展してきた道程を克明に記録した貴重な財産であると言えます。「機械學會誌」の発刊の辞に込められた「天工ニ代ルノ度ニ進」むことを目指して「奮発勉励」する本会ならびに本会会員の活動の記録であるとも言えるのではないでしょうか。
本会は発足当時の正員は僅かに72 名でしたが、現在は約35,000の会員を擁するわが国最大級の学会としての地位を占めています。今年は創立120 周年の大きな節目の年にあたります。これまでに培ってきた本会の価値をさらに高めるために、私達には、10 年、20 年、さらにその先の未来を見据えた活動が求められます。そのキーワードとして「夢」を考えました。120周年のロゴにも「夢を形へ紡ぐ」とあります。そこで、120周年を迎える年の最初の特集テーマは「夢未来マップ~日本機械学会が目指すもの~」としました。
本会が「夢」を語り、「夢」に向けて行動する人たちの集いの場となるために、機械工学・機械技術の使命とは何か、それを担う人材に求められるものは何か、機械工学・機械技術が目指す先にあるものは何かを考え、そのなかで本会はどのような活動を行っていくのか、本会の目指すベき姿はどういうものなのかを会員の皆さんと一緒に考えたいと思い、本特集を企画いたしました。本会のあり方を考えた「日本機械学会憲章を造ろう」、機械工学・機械技術の未来を考えた「夢ロードマップ」、「これからの世界を生きる人材を育てる工学教育」、そして、「新生『日本機械学会』の10 年ビジョン」などの記事で構成しています。ご多忙の中、執筆いただいた諸兄に御礼申し上げます。
将来の日本機械学会を担うのは若い人たちです。若手会員の積極的な参加が重要で、そのための施策を若手の目線で検討する「若手の会」が2015 年に発足しました。その最初の活動が九州大学で開催された2016 年度年次大会での「若手の会」の企画イベントです。彼らの奮闘ぶりをレポートした記事も入れています。本特集が、会員にとって魅力のある学会であるとともに、社会的に意義のある活動を継続していくための検討の一助となれば幸いです。
なお、本号から会誌が全面的にリニューアルされていますが、表紙は、絵画コンテストで子供たちが描いてくれた「夢の機械」です。毎月違う絵が表紙を飾ることになります。色々な「夢の機械」が登場しますので、是非、楽しみにしていただきたいと思います。
2016 年度(第94 期)会長 岸本喜久雄
【表紙の絵】
「ハッピーハッピーマシーン」
中村 遼くん(当時5 歳)
作者のコメント:
人の心を傷つける人や、けんかばかりする人をハッピーハッピーマシーンが吸い
とってくれて、心のきれいな人に産まれかわらせてくれるよ。
みんなが幸せになってほしいな。