日本機械学会サイト

2021/11 Vol.124

機構模型

工部大学校の「機械学」教育機器(機械遺産第100号)

機関車模型

年代未詳/ボールドウィン社製/フィラデルフィア(米)/真鍮、鉄、木製台座/

H250, W610, D180(mm)/東京大学総合研究博物館所蔵

「Baldwin Locomotive Works Philadelphia, USA Compound Locomotive Cylinder and Valve Gear S.M.Vauclains Patents 4o6o11, 4o6o12, 471836」の金属プレート付。このような模型が近代化の進められた機械学教育に用いられた。本模型の年代は未詳であるが、東京大学総合研究博物館には工部大学校を示すプレート付きの機構模型を含め、近代的な機械学教育のために明治期以降に導入された機器が現存する。

上野則宏撮影/東京大学総合研究博物館写真提供/インターメディアテク展示・収蔵

[東京大学総合研究博物館]

バックナンバー

特集 機械と繊維の新しい関係

夢を紡ぎ未来を織りなす機械と繊維

森川 英明・小林 俊一 (信州大学)

日本機械学会と繊維 Homo faberとしての人間にとって「機械」はシンボリックで重要な存在である。日本機械学会は8月7日(旧暦の七夕の日)を「機械の日」と制定し、学会120周年のスローガンを“夢を形へ紡ぐ”と設定している。さまざまな機械がある中で、「機械の日」や学会のスローガ…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

バイオプラスチックを用いたグリーンテキスタイル開発への取り組み

田中 稔久(信州大学)

はじめに 近年、私たちの日常生活で多く利用されている非生分解性プラスチックによる環境汚染が環境問題の一つとなっている。石油由来プラスチックから製造されたストローや飲料ボトル、食品包装などのプラスチック製品は、廃棄された場合、環境中で完全に分解しないため、小さな「マイクロプラスチッ…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

スパイダーシルク

矢澤 健二郎(信州大学)

スパイダーシルクはタンパク質でできている 軽くて強く、低細胞毒性、生体適合性、生分解性を有する 2015年9月の国連サミットにおいて制定されたSDGs (持続可能な開発目標)によって、従前の化石燃料に依存した「ものづくり」からの脱却の気運が高まっている。繊維の分野においても、化学…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

テキスタイルの力学

高寺 政行(信州大学)

テキスタイルと繊維集合体 テキスタイル(textile)とはもともとは織物のことであるが、現在では繊維(fiber)を主たる素材とする材料や製品の総称として用いられる。類似用語のファブリック(fabric)は、主として2次元シート状のものを表す。 テキスタイルは、その構造が繊維の…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

繊維工学技術を融合した高力学特性を有する先進複合材料の設計・開発

鮑 力民(信州大学)

繊維強化プラスチック(FRP)は、連続強化繊維に樹脂を含浸させて硬化したものである。高強度と高弾性率の炭素繊維またはガラス繊維などを使用して成形したCFRPやGFRPは、普通の材料に比べて極めて高い比強度と比弾性率を持ち、航空・宇宙機器をはじめ自動車、船舶、スポーツ用品などさまざ…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

防護服研究への機械工学の利用

若月 薫(信州大学)

はじめに 私たちが着る衣服の目的は日常生活で用いる衣服(アパレル)から、寒さや炎や熱から守る防護服(プロテクティブアパレル)まで幅広くさまざまである。目的の一つは暑さや寒さから私たちの身体を守ることであり、織物や編み物などの生地構造や特性は保温効果と関係する。また、私たちは服を重…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

複合材料における繊維の役割

倪 慶清(信州大学)

繊維強化複合材料(1) 材料、特に工業材料は現在さまざまな最先端分野で技術発展のキーテクノロジーとなっており、また材料の複合化技術は、工業材料に対する要求に応えるために必要不可欠なものとなっている。このことは、これまでの工業材料の歴史的変遷から明らかであると言える。木材、石材、金…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

繊維の構造と力学物性

大越 豊(信州大学)

繊維の力学物性 細くて長い繊維は軽くて強く、しかもしなやかに曲がる 引張に対して強い一方でしなやかに曲がるという繊維独特の力学物性は、長くて細い形態異方性と、繊維軸方向にそって分子が並ぶ構造異方性に由来する。例えば、ほぼ同一の化学組成と構造を持つ人毛・羊毛・カシミアがこの順で柔ら…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

不織布、紡糸の技術

金 慶孝(信州大学)

不織布とは 不織布(nonwoven fabric)とは、繊維同士が機械的な絡み合い、または熱や化学的な接着によって結合したシート状の繊維集合体であり(1)、近年、花粉症およびCOVID-19の流行によるマスク用途以外にも電気自動車向けの吸音材、フィルター材など、幅広い分野で注目…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

織物にストレッチ性を与える方法と着用快適性への効果

金井 博幸(信州大学)

はじめに 高伸縮素材を用いて衣服を構成することは、衣服の快適性を向上させる効果的な方法の一つである。スパンデックスなどの弾性糸は布に高い伸縮性を与えることからさまざまな衣服に利用され、快適性への影響が実験的に調査されている(1)〜(5)。しかし、弾性糸は経年による性能劣化が生じる…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

繊維機械のはなし

喜成 年泰(金沢大学)

はじめに 会員歴40年にして初めて機械学会誌に寄稿 「喜成君は大学院進学が決まったのだから日本機械学会に入会したら?」学部4年生の時に「係の先生」に勧められるまま、本学会に加えていただき、設計製図、材料力学、機構運動学などを担当しつつも、論文集には責任著者として1度も投稿したこと…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

布をあつかう -たたむロボットへ-

河村 隆 (信州大学)

はじめに 日本機械学会の「機械遺産」に第16号として登録されているのは、豊田佐吉の発明である無停止杼換式豊田自動織機(G型)である。この織機には50件以上の発明が含まれているという。重要なものはふたつあり、ひとつは、緯糸を入れるシャットル(杼)の自動交換である。もうひとつは、糸切…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

衣服設計の仮想化と衣環境の推定

乾 滋・堀場 洋輔(信州大学)

はじめに 衣服の美しさや着心地は型紙の形状により大きく左右される。従来の衣服設計においては、型紙を基に仮縫い・試着・修正を繰り返すことで、身体への適合性が高く、着心地の良い衣服が作られてきたが、この工程は時間とコストを要することから、近年では衣服設計の仮想化が試みられている。 ま…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

アパレルとCAD技術

金 炅屋(信州大学)

アパレルの設計方法(1) 立体裁断法(立体から平面へ)と平面作図法(平面から立体へ) 衣服(clothing, clothes, garment)は人間の身体の体幹部を覆うものをいい、アパレル(apparel)は大量生産による既製服を指し、衣服と同様の意味としても使われる。衣服は…Read More

特集 機械と繊維の新しい関係

エレクトロスピニング法によるナノファイバーの世界

金 翼水(信州大学)

はじめに ナノテクノロジーとは、原子や分子の配列をナノスケール(10-9 m)で自在に制御することにより、望みの性質を持つ材料、望みの機能を発現するデバイスを実現し、産業に活かす技術のことである。ナノテクノロジーは素材やIT、バイオなど広範な産業の基盤に関わるものであり、21世紀…Read More