キーワード: 転ばぬ先の失敗学
第12回(最終回)失敗学では「共通シナリオと違和感の設定」が人間の仕事
No.1261, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1261-38/
ChatGPTはテーマとモチーフを助言できるが、決めるのは人間の仕事 筆者は2023年9月中旬に「高野豆腐店の春」(1)と「バカ塗りの娘」(2)の自主映画を見た。両方ともテーマ(主題)は「父娘の絆」であり、モチーフ(着想)は「職人への敬意」である。家族愛をテーマにすれば結果的に「…Read More
第11回 ChatGPTは技術者の過失を裁けるか
No.1260, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1260-38/
ChatGPTは過去のデータを使って設計できるか? ChatGPTは過去のデータを基に人間的な文章を作る。2022年11月に公開された後、世界中で衝撃的に試用されている。筆者らも機械設計で試用中。機械設計では、顧客欲求(ニーズ)、要求機能(仕様書)、設計解(ポンチ絵)、属性(寸法…Read More
第10回 天災天国の日本に住んでいると打たれ強くなる
No.1259, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1259-36/
日本人は再生遺伝子を持っている 日本は「天災天国」であり、日本人は打たれ強い。地震、津波、噴火、台風、洪水、地滑り、疫病などに会うたびに、大泣きする割には立ち直りが早く、粛々と再生する。例えば、1707年に富士山は宝永大噴火を起こし、東方に降砂して酒匂川の川底を上昇させ、大洪水を…Read More
第9回 「失敗したら社長がまず謝る」という鉄則はいつも正しいとは限らない
No.1258, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1258-46/
雪印の食中毒事件は回収や解明の初動が遅かった 雪印乳業の乳製品集団中毒(2000年)は、「失敗学」“創世記”で最も衝撃的な事件であった。技術的原因は整理すれば単純(1)。3月31日に大樹工場の停電で生乳が停滞し、黄色ブドウ球菌が繁殖したが、「加熱殺菌すれば菌は死ぬから大丈夫」とい…Read More
第8回 飲み屋に行っても違和感を抱けるか
No.1257, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1257-30/
飲み屋に行っても違和感でビビッときますか? 前回で述べたように、筆者の「失敗学」は2020年頃に「失敗知識のマネジメントから違和感起点の仮説生成へ」と“宗旨”を変えた。すなわち、「アレッ変だな」「何か起きそうだな」という違和感でビビッと体が震えたら、失敗学の“初等科…Read More
第7回 失敗学の宗旨替え
失敗のナレッジマネジメントから、違和感起点の仮説生成へと転身
No.1256, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1256-38/
20年目の「失敗学」に漂った衰退の影 2020年4月からコロナ禍に突入し、筆者は自宅から毎日、オンラインで講義・会議・研究指導を行った。同様に「失敗学」も対面の“辻説法”ができなくなった。失敗学が“開宗”した2000年から20年もの間、副業の講演会は常に年当たり数十…Read More
第6回 火消しよりも火の用心 事故時の英雄になるよりも、事前予防対策にエネルギを使おう
No.1255, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1255-36/
過去の失敗知識は簡単に活用できる 学生はオープンAIのChatGPT(2022年11月公開)を上手く使っている。筆者は就職担当教員なので、3月からの就職活動を覗いてみた。すると、彼らは「志望動機を300字以内で書いてください」とChatGPTにエントリーシート用の作文を頼んでいた…Read More
第5回 人災か?天災か?どちらにせよ、技術者ならば責任追及よりも再発防止を目指せ
No.1254, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1254-38/
ジャーナリストの興味は「人災か?天災か?」だけ 筆者は東日本大震災(2011年)の後、多くのジャーナリストからインタビューを受けた。そこで必ず最初に聞かれたことは、「この事故は人災ですか? 天災ですか?」である。 人災だと認定されたら、彼らは犯人捜しと責任追及を始める。そうすると…Read More
第4回 ナレッジマネジメントによる失敗防止策の効果とその限界
No.1253, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1253-34/
失敗学=失敗のナレッジマネジメント 誰でもちょっとでも活動すれば、失敗して痛い目にあう。しかし痛いからこそ、失敗分析・再発防止し、賢くなる。でも、人間の一生は短い。一人が全種類の失敗を体験するのは無理。そこで共存型の人類は「他人の失敗まで調べて社会全体で知識活用しよう」と考えた。…Read More
第3回 失敗は忘れた頃にやってくる
No.1252, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1252-34/
故障の半数は経年劣化として顕在化する 前回の失敗学では、御巣鷹山のJAL機墜落事故(1985年)を紹介した。主因は、墜落7年前の圧力隔壁の修理方法のミスである。その後のフライトごとの加減圧でクラックが伸展し、最後は圧力隔壁が疲労破壊した。失敗は忘れた頃にやってくる。…Read More
第2回 工業・工学の失敗には技術的原因と組織的原因が必ず付きまとう―御巣鷹山のJAL機墜落事故を例にとって―
No.1251, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1251-40/
失敗知識データベースから事故原因を分析した 先月号ではタイタニック号の沈没事故を分析したが、失敗学の信徒は知識として何を暗記すべきだろうか。筆者は44年前、材料の講義で「タイタニック号は氷山に衝突し、側板が『低温脆性』によって、ガラスのように割れて冷たい海に沈んだ」と聞いた。その…Read More
第1回 失敗の原因をしつこく考えよう-100年前のタイタニック号沈没事故を例にとって-
No.1250, https://www.jsme.or.jp/kaisi/1250-38/
失敗学の連載にあたって 筆者の失敗学は、技術者のための失敗学である。技術者はより良い方向へと挑戦し続ける。だから、いくら技術者のモラルが高くても、事故、災害、ミス、トラブル、不具合の類は付きものである。ゼロリスクはあり得ない。でも事前にリスクに気付いて、致命的な損失だけは避けるべ…Read More