観測値のばらつきを生じさせている個々の要因効果の大きさを分析する方法.観測値yのばらつきを平方和で計量し,解析者が想定したモデル(線形モデル)に即して,yの全平方和を個々の要因の成分に分解する.このとき,独立した平方の項数を自由度といい,「自由度φの平方和」と表現する.したがって,平方和の分解は自由度の分解を伴う.yの平方和は,誤差の平方和を除いて,自由度1の平方和に分解できる.例えば,実験で取上げた因子の主効果,因子間の交互作用,および観測値の線形式(例えば,直交多項式展開)の効果に分解する.個々の要因の平方和の和がyの全平方和に一致するように実験の直交化が可能であり,そのために要因実験,直交配列表による実験が多用される.各要因効果の大きさを評価するとき,統計的有意性を検定するために,各要因ごとに分解された平方和をその自由度で除した平均平方と,誤差の平均平方との比(F比という)を求め,F検定を行う.yの全平方和に対する各要因の平方和の比率(寄与率)によって評価する場合もある.以上の情報(平方和,自由度,平均平方,F比など)をまとめた表を分散分析表という.分散分析の結果に基づく最適条件の設定では,交互作用の意味づけが重要となる.実験で取上げた因子の種類(例えば,対象システムのパラメータ,環境因子など)によって,その交互作用の意味は異なる.