必要なものを,必要なときに,必要な量だけ作ること.この概念に基づいて作られた生産管理システムをJITシステムといい,別名,トヨタ生産システムとも呼ばれる.JITにおいて,ワークステーションは下流の次工程の要求があるまで生産を行わない.これによって最終製品に対する要求が“プル”方式で前工程に伝えられる.この方式は,最終製品,部分組立品,および部品が将来の需要予測量にそって生産される“プッシュ”方式とは異なる.かんばん(カード)がジョブの工程間の流れをコントロールするために用いられる.JITは,①ロットサイズの縮小化(理想的には1個生産),②ゼロ在庫,③ゼロ不良,をめざすシステムである.それは,発注費や段取り費が製造費に比して無視できるほど小さければ部品のロットサイズは最終製品の組立てに必要な量に等しくするのが最適であるという考え方に基づいている.その実現のために,生産の繰返し性,確定性,原材料や部品の標準化,部品供給会社に対してフレキシブルな部品発注ができること,などに多大の努力と工夫がはかられる.またJITは最終製品の需要量に適応したシステムであるため,日単位の小日程計画が確実に実施されなければならない.それゆえ,需要スケジュールがあまり変動がないこと,不良品の発生によって生産量に不足が生じないこと,などが不可欠な条件になる.特に後者に対して,不良品発生の原因究明と再発防止に努力が払われる.これには設備保全や全従業員の教育・訓練が重要になる.