広義には塑性加工用機械および木工用機械を含むが，日本では狭義に解釈し，おもに金属工作物の不要部分を切削，研削，そのほかの方法によって除去し，所望の形状，寸法に加工する機械をいう．ただし，手に保持して使用する，いわゆるハンドツールを除く．代表的なものに旋盤，フライス盤，マシニングセンタ，歯切り盤，研削盤などがあり，最近は，放電加工機，電解加工機などの特殊加工用工作機械の台頭が著しい．一般に工作機械は，工具によって工作物に加工作用を付与しつつ，その両者に，相対的なX，Y，Z軸に沿う直進運動と，その軸まわりの回転運動を行わせて工作物を加工する．この相対運動やそのほかの操作を手動で行う方式と，自動的に行わせる方式がある．あらかじめ作成したNC加工プログラムを数値制御装置に入力し，工作機械を自動的に稼働させるNC工作機械の比率が増加している．工作機械に要求される主要な性能は，高い加工精度と生産性，ならびに環境適応性である．加工精度は，所定の寸法精度，形状精度，表面粗さが得られる能力であり，良好な運動精度，高い静・動剛性を有し，熱変形が少ない機械構造でなければならない．生産性は，単位時間，単位動力当たりの切りくず除去量が多いこと，また機械稼働率が高い能力である．環境適応性は，最近特に要求されるようになったもので，安全で操作性がよく，切りくずや加工液の回収，リサイクルが容易な能力である．