模擬と訳されることもある．元来は現実を人工的に模倣することを意味するが，工学的には，現象の内の注目する側面のみをモデル化し，このシミュレーションモデルを用いた試行的実験を通して，現実に起こりうる現象を予測する手段である．シミュレーションは，実際に模型を作って行う物理的シミュレーションと，数学的モデルをコンピューター上で扱う論理的シミュレーションに分けて考えることができる．論理的シミュレーションは，数学的モデルの性質から，確率論的シミュレーションと決定論的シミュレーションに大別される．シミュレーションによる分析・予測手法は，特に現実の場を使って実験することが困難な場合または不可能な場合には有効とされ，経済学的モデルに基づく経済の動向予測など，工学以外の領域でも活用されている．論理的シミュレーションでは，モデルを記述したプログラムを作成する必要があるが，この過程を支援するためにGPSSやDAINAMOに代表されるはん用シミュレーション言語が各種開発されている．