オペレーションズリサーチ(略してOR)は第二次世界大戦中の軍事システムの運用や作戦の研究を契機に生まれた(ヨーロッパではオペレーショナルリサーチと呼ぶことが多い).戦後,産業界において生産や輸送などにおける諸問題を数理科学的に解くものとして,飛躍的な発展をみせた.これまで独自に発展してきた工学,経済・経営学,農学などの諸科学を縦糸とするならば,ORはこれらを結ぶいわば横糸として,現在は一企業レベルの問題から社会的レベルの問題まで,人間活動がかかわる種々の分野で適用がなされている.主要な研究内容は,計画,設計,管理などさまざまな局面における意思決定を支援するためのもので,投資計画,生産計画,輸送計画,在庫管理,品質管理,リスク管理などはその典型的なものである.また機械設計や建築・土木における構造物設計にも最近OR手法が盛んに適用されている.標準的なテキストに収められているOR手法は,問題自体を発掘するためのブレインストーミングや問題構造を明確化する種々のグラフマトリックス法,最適化(線形計画,非線形計画,整数計画,組合せ最適化,確率計画,多目的計画など),モデリング,シミュレーション,待ち行列,信頼性,ゲーム理論などである.ORは情報科学,制御工学とともにシステム科学(工学)の中核をなしている.