レイノルズによって層流のニュートン粘性流体の運動方程式であるナビエ・ストークスの式と連続の式から誘導された流体潤滑の基礎となる圧力方程式.二面間の流体膜の厚さは他の寸法に比較して十分薄いことから,流体の重力や慣性力ならびに膜厚方向の圧力変化が無視でき,その結果,単純な純粘性平行流れであるポアゼイユ流れとクエット流れを重ね合せた流れに近似できる.レイノルズは非圧縮性流体を仮定したが,後に圧縮性流体にも適用できる下記の式に改良された.\[\frac{\partial }{{\partial x}}\left( {\frac{{\rho {h^3}}}{\eta }\frac{{\partial p}}{{\partial x}}} \right) + \frac{\partial }{{\partial z}}\left( {\frac{{\rho {h^3}}}{\eta }\frac{{\partial p}}{{\partial z}}} \right) = 6\left( {{U_1} + {U_2}} \right)\frac{{\partial \left( {\rho h} \right)}}{{\partial x}} + 6\rho h\frac{{\partial \left( {{U_1} + {U_2}} \right)}}{{\partial x}} + 12\frac{{\partial \left( {\rho h} \right)}}{{\partial t}}\]ここに,p:圧力,h:すきま,η:粘度,ρ:密度,x:面の運動方向,z:幅方向,t:時間,U:壁面のx方向移動速度.右辺の第一項がくさび作用,第二項が壁面の流れ方向の変形によるストレッチ作用,第三項が二面の接近によるスクイーズ膜作用を意味する.第三項がある場合を動的レイノルズ方程式という.上式では,膜厚方向には粘度が変化しないことを仮定しているが,二面間に温度差がある場合や発熱が大きい場合には粘度変化は無視できず,粘度変化を考慮した「一般化レイノルズ方程式」と呼ばれている修正式がある.また,乱流の場合,粗さの統計量を考慮した場合,気体膜で気体分子の平均自由行程のオーダのすきまになった場合,非ニュートン流体の場合などにそれぞれ対応した修正レイノルズ方程式が提案されている.