電荷と電荷との間に働く力(クーロン力)を利用したアクチュエータ.コンデンサの電極間に働く力を利用した可変容量形静電モータ,コロナ放電によってロータに電荷を供給するコロナモータ,電場の変化に対する誘電体の分極や高抵抗体の電荷の拡散の時間遅れを利用した誘導モータ,電気分極を保持できるエレクトレットをロータに利用したエレクトレットモータなど,静電アクチュエータには,種々の形式のものが考案されている.静電モータは,磁界利用のモータに比べて発生できる力が極めて小さく,また駆動に高電圧を必要としたため実用化が遅れていた.静電力は,微小寸法の世界においては,単位体積当たりの力が大きくなるなど有利であり,マイクロアクチュエータに適する.半導体のマイクロマシニングを利用して,シリコン基板上にロータ径が100μm以下の可変容量形モータや,移動体を弾性支持し,くし形電極を利用して往復運動を得る機構,一種の減速機構を有し低速高トルクが得られるワブルモータなどの開発が進められている.また,微細寸法の電極を絶縁フィルムに形成したものを,多数重ね合わせることにより,通常の電磁形のモータに匹敵する大きな出力が得られる静電モータも開発されている.