Johnson, Kendall, Roberts により1971年に発表された,表面エネルギーをもつ二つの球面あるいは球面と平面が弾性接触するとき,接触面半径と外力との関係を示す理論.表面エネルギーによる凝着力の仕事と弾性接触変形の仕事の和が最小となる条件から導出している.凝着力の仕事として,接触面内領域のみの表面エネルギーの効果を考慮し,接触面近傍周囲の表面エネルギーの効果を考慮していないところから,弾性接触面積が大きくなるような,球の半径と表面エネルギーが大きくヤング率が小さい場合に適用できる.接触する二面の表面エネルギーをともに \({\gamma}\) とすると,外力 \(F\) と接触面の半径 \(a\) の関係は
\( F + \sqrt{16 {\pi} {\gamma} E^* a^3} = \frac{4E^*}{3R}a^3 \)
で表される.ここで \(E^*\) は二面の合成ヤング率,\( R = \left(\frac{1}{R_1} + \frac{1}{R_2}\right) ^{-1} \) は曲率半径がそれぞれ \(R_1\) と \(R_2\) になる二面の等価半径である.左辺第2項が表面エネルギーによる凝着力に相当する.右辺は接触半径が \(a\) のときのヘルツ接触反力で,表面エネルギーがゼロのときには,ヘルツ理論による外力 \(F\) と接触半径 \(a\) の関係式に一致する.\(F\) を負にして引き離し力を加えていくと \(a\) は減少するが,\( a = \left(\frac{9{\pi}{\gamma}{R^2}}{4E^*}\right) ^{-1/3} \)のとき最大の凝着力 \( -F = 3{\pi}R{\gamma} \) となり,以後二面は分離する.