超LSIの製造は空気の清浄度,温湿度,工程ウェーハに直接接触する水や薬品などの環境が管理された清浄な部屋(クリーンルーム)の中で行われる.クリーンルームは,室内の清浄度をある水準値に保つために除じん処理が施された空間で,清浄度は,LSIの集積度の向上に対応して1997年から2000年には0.05μm基準クラス1(1ft3中に0.05μm以上の粒子が1個以下)から0.02μm基準クラス0.1(1ft3中に0.02μm以上の粒子が0.1個以下)が要求される.
クリーンルーム内では,天井に取付けられた除じんフィルタを通して清浄な空気が送り込まれ,床を通してリターンチャンバに排出され,さらに機械室に設置された空調機により,再び除じんフィルタを介してクリーンルームに戻される.内部のレイアウトは高清浄域のプロセスエリア(WZ)と低清浄域のサービスエリア(UZ)に仕切られて,あたかもベイ(湾)のように配置されているベイ方式が一般的である.高清浄域にはULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタが,低清浄域にはHEPA(High-Efficiency Particulate Air)フィルタが用いられる.製造装置本体はプロセスエリアに,真空排気装置がガス除害装置などの付属装置はサービスエリアに設置される.ベイ方式はプロセスエリアを局所的に高い清浄度に保持する上で効率的であり,また高清浄度空間を限定することによる設備投資費や維持費の削減効果も大きい.
クリーンルーム内には,露光,エッチング,拡散・酸化,スパッタリング,イオン注入,洗浄などの各工程ごとに,プロセスエリアに製造装置が配置されている.超LSIの製造では,これらの工程が数回から数十回ずつ繰返されるため,ウェーハは各工程間の往復や工程内の移動を繰返しながら運搬されていく.人が動きまわることによる発じんを防止し,またウェーハの移動をコンピュータにより正確に管理するために,ウェーハの運搬は完全に自動化されている.ウェーハの大口径化による重量増の問題も最近の自動化推進の大きな理由になっている.
ウェーハの運搬には,工程間の搬送では天井のレールに案内された搬送車が使用され,運搬後には,いったんストッカに保管される.各工程内では移動ロボット(工程内搬送車)が用いられ,ウェーハは各製造装置のカセットステーションに保管される.各プロセス処理の終わったウェーハは再び移動ロボットにより次のプロセスに搬送される.これらの管理はすべてCIMシステムにより行われている.