磁気抵抗効果を利用した磁場センサで下記の3種がある.(1)パーマロイ(NiFe)などの強磁性薄膜の抵抗が外部磁界により変化する異方性磁気抵抗効果(AMR:Anisotropic Magneto Resistance Effect)を利用した磁場センサ.MR比(磁場に依存して変化する最大の抵抗値と最小の抵抗値の比)は2~4%.(2)2層の強磁性薄膜の間に非磁性層(導電層)を形成し,膜面に平行に電流を流すと,強磁性薄膜の磁化が互いに反平行の場合と平行の場合では伝導電子の抵抗が異なる巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant MR)を発現する.この特性を利用した磁場センサ.GMR素子は自由層/非磁性層/固定層/反強磁性層の4層構造をもつ.外部磁界により自由層が平行/反平行に変化する.MR比は4~20%.(3)極く薄い層(1 nm以下)のアルミナなどの絶縁層を介して2層の強磁性薄膜に垂直に電圧を印加するとトンネル電流が流れる.GMR素子と同様に強磁性薄膜の磁化が互いに反平行の場合と平行の場合では抵抗が変化する.これをトンネル磁気抵抗効果(TMR:Tunnel MR)といい,この特性を利用した磁場センサ.TMR素子もGMR素子と同じ4層構造をもつ.アルミナに替わり酸化マグネシウム(MgO)の絶縁層が開発された.MR比は70%以上と極めて高い.