歩行中の脚運動の順序やタイミングを表す歩行パターン.歩行の安定性,高速性,エネルギー効率に大きく影響する.周期的な定常歩容においては,歩容は図に示した一サイクル中で各脚が遊脚から立脚になる時刻の位相(0~1)および,各脚の立脚期間(支持期間)のる時刻の位相(0~1)および,各脚の立脚期間()の割合であるデューティ比(0~1)によって表すことができる.すべての脚のデューティ比が等しい歩容をレギュラ歩容と呼ぶ.対になる左右の脚の位相差が2分の1である歩容を対称歩容と呼ぶ.六足および四足の代表的な歩容の位相を図に示す.波状(ウェーブ)歩容
は後方の脚の着地とともに前方の脚を遊脚化する順序で動作が伝ぱする対称歩容で,特にデューティ比が3分の2の六足ウェーブ歩容を平行四辺形歩容,デューティ比が二分の一のものをトライポッド(交互三点接地)歩容と呼ぶ.四足ではデューティ比が0.75のアンブル歩容,デューティ比が0.5のトロット歩容がウェーブ歩容であり,前者を特にクロール歩容と呼ぶ.また,つねに遊脚数が1以下の歩容をクリープ歩容,複数の脚の遊脚と立脚間の遷移が同時に起こる歩容を特異歩容と呼ぶ.一方,二足歩行においては,両脚の位相差が2分の1,デューティ比が2分の1以上,すなわち,一方の脚を遊脚化する単脚支持相と両脚支持相を繰返す歩容が一般的である.また,前方以外の方向に並進する歩容を側行歩容,回転運動を伴う歩容を旋回歩容と呼ぶ.定常的なパターンを持たない自由歩容,障害物などに応じて基準歩容からパターンを変化させる適応歩容の研究も進められている.