ロボットを各種作業に応用する場合には,組立,研磨などの例からもわかるように,その手先工具を作業対象物や環境に接触させて作業を行うことが多い.そのような場合には,工具の位置だけでなく,それが対象物に加える力も適切に制御することが望ましい.このための一制御法が位置と力のハイブリッド制御法であり,通常短縮してハイブリッド制御と呼ばれる.これは,位置を制御したい方向と力を制御したい方向を作業に応じて定め,それぞれの方向の位置と力を測定し,それらをそれぞれの目標値に追従させるための位置制御ループおよび力制御ループにフィードバックすることによって,位置と力を同時に制御するものである.これを用いると,例えば研磨作業の場合,研磨工具に対して,対象物の法線方向には望みの力をかけつつ,接線方向には望みの研磨速度を実現することができる.制御ループとしては通常PID制御程度のものが用いられるが,制御の高性能化を目指して,ロボットの動特性を補償した動的ハイブリッド制御法も提案されている.