ハンドやマニピュレータに触覚センサを取付けて,対象物(や環境)の表面に接触しながら動かし,そこから得られる情報に基づいて新たなステップの運動を決定すること.対象物にハンドを1点で接触させながら動かすと,接触力(接触点の圧力や力ベクトル)の時系列データが得られる.また,多点で対象物に接触する場合には,押し当てるだけでも空間的に離散分布する接触力データが得られる.これらが対象物表面の局所的な形状に関する情報を与えていると考えれば,この情報に基づいて次に動かすべき大きさと方向を予測・決定できることになる.触覚フィードバックは,ハンドによる対象物の安定な把持や操りに有効である.例えば,ハンド・対象物間に発生する滑りを検知しながら把握力を調整することにより,対象物を安定に把持したり,あるいは逆に滑らせたりすることができる.また,ハンド上の接触点を時時刻刻知ることができれば,これに基づいて対象物を転がすこともできる.触覚フィードバックを用いたハンドの接触運動は,対象物に関する新たな情報の取得を可能にすることから,アクティブセンシングを目的として利用されることも多い.すなわち,対象物のより広い範囲の形状を詳しく調べたり,接触点を同定したり,さらには,対象物の硬さ,インピーダンスや接触面の静摩擦係数なども検出できるようになる.