ある目的を達成するために,複数の制御対象を協調的に制御することを意味するが,制御対象としては,ロボットやアクチュエータを考える場合が多い.協調制御は,1台のコントローラによる集中制御によって実現する場合もあるし,複数のコントローラによる分散制御で実現する場合もある.複腕協調動作を実現するためのマニピュレータの協調制御では,作業そのものがマニピュレータ相互の力学的な干渉を伴うことが多いので,力学原理に基づき,1台のコントローラで集中制御することが多い.しかし,作業そのものの力学的な干渉が問題とならないロボットの協調制御においては,個々のロボットはそれぞれのコントローラで制御されることが多く,アリなどのような生物の群行動を創発するメカニズムを組込むことで協調制御を実現しようとするアプローチ,ロボット間の明示的通信を用いた契約ネットプロトコルによるマルチエージェントシステムを構成することで協調制御を実現しようとするアプローチ,非線形動的システムの引込み現象を利用するアプローチなど,いろいろなアプローチが試みられている.