非線形動的系の安定性を調べるためにロシアの数学者リアプノフ(M.A. Lyapunov,1893)によって与えられた定理である.系が安定であれば,初期値から出発した系の状態軌道\(\boldsymbol{x}\left( t \right)\)は定常状態に近づいてくる.近づきかたを測る距離に似た正の実数関数\(V\left( {\boldsymbol{x}\left( t \right)} \right)\)が定義でき,\(V\left( \boldsymbol{x} \right) > 0\),\(\boldsymbol{x} \ne {\bf{0}};V\left( {\bf{0}} \right) = 0\)であり,かつその時間微分が\(\frac{{dV\left( \boldsymbol{x} \right)}}{{dt}} \le 0\)であれば,この系は安定であり,さらに,\(\frac{{dV\left( \boldsymbol{x} \right)}}{{dt}}\)が恒等的に0になるのは定常状態のみであれば漸近安定である.このような\(V\left( {\boldsymbol{x}\left( t \right)} \right)\)をリアプノフ関数と呼ぶ.