PID制御の制御動作は,比例動作,積分動作,微分動作の三つからなる.比例,積分,微分に対応する英語の頭文字をとり,P,I,Dと略記する.PID制御は,アナログ制御とディジタル制御の両方で実現することができる.アナログ制御方式では,PID制御装置の伝達関数Gc(s)をGc(s)=KP(1+1TIs+TDs)で表すとき,操作量(制御装置の出力)はu(t)=KP(e(t)+1TI∫t−∞e(t)dt+TDde(t)dt)となる.上式の第1項が比例動作,第2項が積分動作,第3項が微分動作である.制御動作が比例動作のみのとき比例制御,比例動作と微分動作のときPD制御,比例動作と積分動作のときPI制御という.上式において,KPは比例ゲイン,TIは積分時間,TDは微分時間と呼ばれる.実際の調節計では,比例ゲインの代わりに比例帯が用いられることが多い.比例帯は1/KPに比例した値であり,単位は%で表す.すなわち,比例帯とは,比例動作において,調節計の出力が有効変化幅の0から100%まで変化するのに要する入力の変化幅の割合(%)である.ディジタル制御方式では,PID制御は計算機プログラムによって実現することができる.このため,PID制御の計算式のことをPIDアルゴリズムということが多い.