構造物や都市システムなどを,近い将来に来襲が予想される地震(一般には大規模地震)に対してそれらの安全性が確保されるように設計するために必要な考察,解析,計算,実験,設計技術などの総称.1995年の兵庫県南部地震の都市施設,産業施設の甚大な被害により改めて重要性が示された.一般には,①過去の地震歴などからの適切な建設地点の選択と地質・地盤などの調査,②対象施設,構造物の構造形式,構造材料の決定,③構造物などのモデル化と合理的に決定された地震力(設計地震入力)に基づく地震応答計算,④対象物の重要度,危険度などを考慮した全体システムの安全性やほかのシステムに対する影響の検討,⑤既存構造物の脆弱性,劣化,寿命などを勘案した耐震性診断と適切な補強,⑥大型振動台などによる重要構造物の耐震信頼性の実証試験と評価,⑦地震被害後の復旧,社会や政治への影響,組織体の相互協力,応急体制のあり方など,非常に広範な分野を包含する.機械工学の貢献も重要で,原子力発電所,化学プラント,各種生産施設における重要機器,配管とその支持構造,液体貯槽などの耐震化を実現している.また,近年は新材料を活用した高減衰ダンパ,積層ゴムやボールベアリングを用いた免震装置,耐震用能動制振装置の開発も行っている.