動的システムにステップ関数が入力されたときの応答をステップ応答という.動的システムの特性を直感的に理解したり,評価しようとする場合,そのシステムを記述する微分方程式,状態方程式,伝達関数を用いるよりも,初期値がすべて0という条件下でシステムにある入力を与え,その応答波形を見るほうが理解しやすい.この場合の典型的入力としてステップ関数が用いられることが多い.高さが1の単位ステップ関数が入力として用いられた場合には,単位ステップ応答またはインディシャル応答と呼ばれる.動的システムの特性には応答の速さに関するものと,振動の減衰などに関するものがあるが,ステップ応答ではこれらを評価するために次のような量が定義されている.①遅れ時間td:応答が最終値の50%になるまでの時間.②立上り時間tr:応答が最終値の10%から測定して90%に達するまでに要する時間.③整定時間ts:応答が最終値からの幅±α[%]内におさまる状態になるまでの時間.αとしては2または5が用いられる.④行過ぎ量Ov:応答の最大値が最終値をどの程度超えたかを示す量で,最終値に対する超えた量の割合を%で表したものである.図には典型的なステップ応答波形について,これらの量が示されている.