構造物を対象とした地震応答制御技術は免震技術と制震技術に大別される.免震技術は,構造物を積層ゴムなどで支持して系の固有周期を長周期化し(通常2~4秒程度),エネルギー吸収装置を併用して(通常10~20%程度の等価減衰比)過大な相対変位を抑制し,応答加速度を大幅に低減させる技術である.制震技術は,固有周期は変更せずにエネルギー吸収装置によって系の減衰を増加させ,応答加速度,応答変位を低減させる技術である.ただし,制震技術では,免震技術と異なり,構造物の応答加速度を地動加速度よりも小さくすることはできない.図は免震技術と制震技術を加速度応答スペクトル上で表現したものである.制震技術と類似の技術として,強風時や小地震時の高層建物の揺れを抑えて,居住者の不快感や不安感を低減することを目的とした制振技術がある(この場合には風が主要な対象であるため,「震」ではなく「振」の字を用いて区別する).この制振技術では,主として,マスダンパと呼ばれる装置が用いられ,これには,パッシブ型とアクティブ型がある.