回転体を磁気的な力により完全非接触で支持する軸受のことである.磁気軸受の特徴として①無摩耗性.機械的に完全に非接触であるため,摩耗がなく機械的寿命は無限といえる.②無潤滑性.潤滑を必要としないためオイル系統の設備は不必要となり,周辺環境がクリーンとなる.また,潤滑の必要がないので真空中,高温中,低温中などの特殊環境で使用できる.③超高速回転,高周速回転への適合性.回転速度の上限は軸受摩擦ではなく,ロータの遠心破壊度になる.④低振動,低騒音性.制御型磁気軸受は高減衰となり振動・騒音を発生しない.⑤超精密回転の実現.玉軸受のようながたや玉通過振動がないので超精密な回転が可能となる.⑥メンテナンスフリー性.軸受の保守管理が従来の軸受と比較して低コストになり,また,半永久的寿命となる.一方,欠点として現状の技術では①高価である,②負荷力の限界,③高剛性の限界,④停電時の処置などがあげられる.磁気軸受の種類としては制御型(能動型)と非制御型(受動型)があり,磁力の吸引方式と反発方式がある.磁気軸受は磁石が不可欠であるが,これには永久磁石,直流電磁石,交流電磁石,超電導磁石などがある.現在,商業用としてもっとも普及しているのは能動型の吸引力制御による直流電磁石方式である.吸引力制御は現在,アナログPID制御あるいは位相補償制御によって行われているが,最近はディジタル制御への移行が進みつつある.