安定な伝達関数G(s)のゲイン|G(jω)|のωに関する最大値は数学的にはG(s)のH∞-ノルム(HはHardy空間のイニシアル)と呼ばれる.閉ループ系の外乱から誤差制御量への伝達関数のH∞ノルムを評価関数とする制御系の設計法をH∞制御と呼ぶ.H∞制御はロバスト制御の有効な手法であるだけでなく,古典的なループ整形を厳密に行うことを可能にすることによって古典論と現代論を融合させ,さらに最悪状態設計の手法を提案している.H∞制御は二つのリッカチ方程式を解くことによって求められるので多くの設計の現場で用いられている.