原子力発電所の安全評価では,設計基準事象として各種の事故を想定し,安全設計の妥当性を解析・評価する.さらに立地の適否の評価のために,その中で技術的に見て合理的に最大と考えられる放射性物質の放出量を与える事故を重大事故という.技術的に起こるとは考えられないが,重大事故を超える限界的な放射性物質の放出を工学的観点から仮定するのが仮想事故である.原子炉から格納容器内への放出量,格納容器の設計漏えい率,気象,地理などの条件,離隔距離などを基に,被ばく線量を評価して公衆との離隔の適否の判断を行う.重大事故と合わせて立地評価事故と呼ばれることもある.