MHDとは,magneto-hydro-dynamics(電磁流体力学)の頭文字をとったもので,電磁流体発電ともいわれる.MHD発電は,ファラデーの電磁誘導の法則に基づいて,導電性流体が磁界を横切るときに誘導される起電力とそれによって流れる電流とによって,流体の持つエンタルピーを電力に変換する直接発電である.この発電方式は大容量発電に適し,従来の蒸気タービンやガスタービンと組合わせることにより50~60%の高い熱効率(高位発熱量基準)が期待される.システム構成により開放形と密閉形に大別され,開放形では燃焼ガス(発電機入口ガス温度2500~3000K)を,密閉形では希ガス(アルゴンまたはヘリウム,同温度2000K程度)あるいは液体金属を作動流体とする.ガスを用いる方式においては,通常作動流体の導電率を高めるためにアルカリ金属あるいはその化合物がシード物質として微量添加される.発電機の形式として,ファラデー電流を取り出すファラデー型発電機,ホール効果(ファラデー電流と磁界の双方に直角に起電力が生じる)を利用するホール形発電機がある.