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エネルギー利用

energy utilization

 エネルギー利用を供給から需要まで体系的に図に示す.これがいわゆるエネルギーフローである.供給源は一次エネルギーと呼ばれ,国情によって大きな違いがあると同時に政治,社会情勢を反映して年ごとにかなり変化する.資源に乏しいわが国では大半を海外からの輸入に依存しているが,大きな動向としては石油から天然ガスへの転換と原子力比率の上昇による安定したエネルギー源の確保が計られてきた.これらの一次エネルギーはそのまま直接利用されるものもあるが,大部分は電力,都市ガスなどのエネルギー供給産業とガソリン,軽油などの液体燃料にいったん変換,加工する石油産業での利用に分けられる.世界的にみると石炭は依然として重要な一次エネルギーであり,日本の場合製鉄の還元剤として使用されるコークスの原料であるとともに変成ガスとして製鉄所内のエネルギー源に供されている.エネルギー先進国では電力比率の高いのが特徴で,その利便性とエネルギー高度利用からさらに強まる傾向にある.エネルギーの最終需要は製造業を中心とする産業や自動車,鉄道,船舶,航空などの運輸,一般住宅,商用などの民生の三つの部門に分類される.日本の場合民生部門の比率が高まりつつあるが産業部門の比率が依然高く,中でも製鉄,石油化学,窯業,製紙の各産業はエネルギー多消費産業と呼ばれ,特にその割合が大きい.アメリカでは自動車によるガソリン消費が多く,運輸部門の比率が高い.エネルギーの変換機器についてみると電力比率の増加に対応して電気事業ではガスタービンとランキンの複合サイクルによる高効率化,新型軽水炉の開発など既存のエネルギー変換機器の性能改善と熱電併給(コジェネレーション)システムの普及,燃料電池による高効率発電装置など新しい機器開発も進められている.産業用・民生用に共通した様々な熱回収,ヒートポンプの活用に加え,民生部門では高性能エアコン,太陽電池などの設置による省エネルギー化が計られており,運輸部門でも自動車の排ガス規制に向けて内燃機関の高性能化と電気駆動車の導入も進められている.

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12/1001163.txt · 最終更新: 2017/07/19 08:49 by 127.0.0.1