温度を縦軸,エントロピーを横軸にとった座標系により,状態変化における温度とエントロピーの関係を示した図.T-S線図ともいう.準静的変化の場合に限り変化の途中の温度が確定し,線図は系の状態の変化を示す.周囲から系への熱は,状態変化の曲線と横軸の間の面積に等しい.サイクルの場合に周囲から系への熱は,サイクルが図上で時計方向に推移すれば,状態変化の曲線が作る面積に等しい.反時計方向に推移すれば,その面積に負号を付したものに等しい.熱力学の第一法則により,この熱は,系から周囲への仕事に等しい.非静的変化の場合には上述のような明確な対応はなく,変化の曲線は系の平均的な温度を示すか,単に変化の方向を示すに過ぎない.