物質の流動と変形に関する学問分野のこと.20世紀初頭からの化学工業の発展に伴い,フックの法則やニュートンの粘性法則だけでは力学挙動をとらえにくい新物質,例えばゴム,樹脂,繊維,ガラス,プラスチックなどの素材やペイント,印刷インキなどの各種コロイド溶液などが次々に現れ,それらの力学的挙動の解明が必要になった.そのような背景から,1929年にアメリカのビンガムによって創立された学問で,ギリシャ語で流れるという意味のrheoと,科学を意味するlogosを組合せて名付けられた.各種素材,高分子物質の融液や溶液から食品にいたる天然物質や合成物質について,粘性,塑性,弾性,粘弾性,接着,摩擦などの各種性質を扱う.このような巨視的性質は物質の構造や,分子あるいは原子間の力などの微視的な性質に起因しており,連続体の力学や物性論,さらには生物学,コロイド化学,高分子学などと深く関連しており,それらの境界領域の学問といえる.